被災地に思い馳せ 高田別院で「勿忘の鐘」響く 東日本大震災から11年

東日本大震災から11年を迎えた2022年3月11日、震災を忘れないようにと、地震が起きた午後2時46分に合わせて鐘を突く「勿忘(わすれな)の鐘」が、新潟県上越市寺町2の高田別院で行われた。僧侶やその家族、地元住民ら約15人が、犠牲者を悼み、被災地の復興への願いを込めて鐘を突いた。

地震発生時刻に合わせ鐘を突く参加者
20220311勿忘の鐘

勿忘の鐘は、津波で全壊した岩手県陸前高田市の本称寺で震災翌年の2012年に始まり、その後全国各地の寺院に取り組みが広がった。高田別院では2014年に初めて行われ、その後一時中断していたが、震災から10年の節目を迎えた昨年に復活。被災地の子供たちの支援を行っている真宗大谷派高田教区の「キッズふくしま実行委員会」の主催で行っている。

参加者は地震災発生時刻の午後2時46分から、順番に鐘楼に上がり、手を合わせたり、念仏を唱えながら鐘を突いていった。同委員会委員長で、糸魚川市の徳正寺の繁原立さん(38)は「昨年震災から10年の節目と言われたが、私達には毎年が節目で、被災地の人は毎日が節目だと思う。(原発事故の影響による)帰宅困難区域がまだ存在しており、震災は終わっていない」と話した。

今回初めて参加した門徒で同市仲町2の男性(73)は「被災地への思いを込めて鐘を突いた。災害についても明日は我が身と改めて感じた」と話した。

勿忘の鐘は、同教区内の他の寺院でも行われた。