記録的暖冬少雪でも「雪室」稼働 岩の原葡萄園 山間部から雪運び入れ

新潟県上越市北方の「岩の原葡萄園」は2020年2月14日、ワインの熟成に利用している雪室の雪入れ作業を行った。記録的な暖冬少雪で雪がなく、一時は中止も検討されたが、先週にようやくまとまった降雪があり実施にこぎつけた。

雪を除雪機で飛ばして雪室に入れる作業員
雪室①

雪室は、「日本ワインぶどうの父」と呼ばれる同社の創業者川上善兵衛(1868〜1944)が、雪の冷熱を利用したワインの発酵や夏場の貯蔵庫の室温調整を目的に1898年に初めて設置。一時中断していたが、2005年に復活再建した。「深雪花」や「ヘリテイジ」といった自園産ブドウを使った赤ワインの樽熟成庫である、市指定文化財の「第二号石蔵」の4〜10月の室内温度を一定の18度に保つ。

牧区から雪がトラックで運ばれた
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雪が高く運び入れられた雪室内
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雪入れは毎年この時期に行っている。同市内でも雪の多い山間部の牧区に近い同所は、例年2月中旬には約1mの積雪があるが、今年はゼロ。このため、委託業者が牧区柳島からトラックで雪をピストン輸送し、ロータリー式除雪機で雪室内に飛ばす作業を繰り返した。

近年の暖冬少雪傾向で、牧区からの雪の運び入れは毎年実施しているが、今年は敷地内の雪は10トン程度でほとんどが牧区の雪となった。通常雪室には約330トンの雪を入れるが、今年は8割の約250トンにとどまるという。

記録的暖冬で屋根や駐車場にも積雪がない岩の原葡萄園
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同社製造部の建入一夫専任課長は「雪入れができ、ほっとしている」と胸をなで下ろした様子。一方で、前日13日は高田の最高気温が17.6度と4月中旬並みの暖かさとなったこともあり、「こんなに気温が高いのはこれまで経験がない。大雪でブドウの木の被害はないが、ブドウが芽を出してしまわないか心配」とも話していた。

岩の原葡萄園