旧国鉄の「新潟色」 異例の企業名控えたトキ鉄広告ラッピング列車で復活

新潟県上越市のえちごトキめき鉄道は、国鉄時代に新潟地区で運行されていた赤と黄色の塗装をした「新潟色」の新ラッピング列車の運行を、2021年8月18日に開始した。広告列車でありながら企業名を控えめにして、「金太郎塗り」と呼ばれた往時の姿を再現した異例の広告ラッピング列車だ。

運行を開始したえちごトキめき鉄道の「新潟色」ラッピング列車
ラッピングトレイン③

新潟色とは、雪の多い地方でも目立つ色として、黄色の車体に赤色の帯を上下に施したツートンカラーの列車。1978年まで運行され、配色が昔話に登場する金太郎に似ていることから金太郎塗りとも呼ばれ親しまれた。

懐かしい列車の復活は、筋金入りの鉄道ファンでもある屋根や床などの建材メーカー、田島ルーフィング(本社・東京都)の田島常雄会長(68)の発案。トキ鉄の鳥塚亮社長とも旧知であることから、約2年をかけて実現に至ったという。

広告列車でありながら企業名は控えめ
ラッピングトレイン②

「鉄道は生活を支えると同時に、みんなが楽しみ、見に来たいというものでなければならない」(田島会長)というコンセプトで、企業名はドア開閉ボタンに付近などに小さくとどめた。一方で、田島ルーフィング製のデザイン性の高い特殊フィルムを使用して細部に微妙な陰影を施すなど、往時の姿を忠実に再現した。

直江津駅ホームで行われた出発式で、鳥塚社長は「新しい形のラッピング列車。景色にマッチして走ることで、地域の魅力が引き立つ」とあいさつした。田島会長は「目の肥えた鉄道ファンに耐えられるよう、思う存分にやらせてもらった。たくさんの人が写真を撮りに来て、越後を潤すことも期待している」と述べた。

直江津駅での出発式で合図する田島会長(左)、鳥塚社長(右)ら
ラッピングトレイン①

車両は2両1編成。通常のダイヤ編成に加わり、妙高はねうまラインの直江津―妙高高原間(一部JR長岡駅まで)を運行している。