新潟県妙高市の妙高観光局は2019年6月、妙高高原駅前にある「妙高高原観光案内所」内で、倉田まり子などのアイドル歌手を起用して製作した約40年前の観光ポスターの展示を始めた。
ポスターは観光案内所が昨年2月に現在地に新築移転したことに伴い、昨年11月に旧施設を取り壊したところ、倉庫の屋根裏から約50枚が発見された。最も古いものは1978年(昭和53年)頃のポスターとみられる。アイドル歌手として人気があった倉田まり子、松本ちえこをモデルに起用したポスターもあった。
1978年(昭和53年)5月18日、赤倉山の中腹で大規模な土石流が発生し、一瞬のうちに新赤倉温泉の寮や民家などを飲み込み、国道18号のほか、信越本線の線路を300mにわたって埋めた(「妙高高原町史」)。妙高観光局の竹田幸則事務局次長(60)によると、連日の報道で宿泊などに大きな影響が出たため、風評被害を払拭しようとポスターを製作したという。ポスターはモデルを使って池の平で撮影され、下部には「災害につきましては大変ご心配をおかけいたしましたが、宿泊その他の施設は平常通り営業中です」と書かれている。
アイドル歌手を使ったポスターは、災害の翌年以降に製作したもので、「タレントを使って元気な妙高高原をアピールしたかったのではないか」と言う。
倉田まり子は1979年に歌手デビュー。その年は、日本レコード大賞新人賞を受賞するなど、大活躍した。ポスターは人気絶頂期のもので、夏用と冬用が撮影されている。現在は坪田まり子の名で、キャリアカウンセラーとして活躍中。58歳。
松本ちえこも当時のアイドル歌手で、「恋人試験」がヒット。ポスターは冬なのに水着姿だが、当時はゲレンデで日光浴をするのが流行していた。現在も女優として活躍している。59歳。
竹田次長は「ポスターは妙高高原町観光課に在籍していた1990年(平成2年)頃、産業文化祭で展示するため、パネル張りにしておいたもの。展示はその年だけだったが、懐かしいと人気を呼んだ」と記憶をたどる。ポスターは3枚を観光案内所で展示している。今後は1か月に1回ほどポスターを入れ替えて展示する予定。