妙高の雪形「跳ね馬」に角が生えた!?

新潟県妙高市にそびえる妙高山の外輪山、神奈山(1909m)に出現する雪形「跳ね馬」の頭部に角(つの)が現れてきた。

農耕の目安とされた妙高の雪形「跳ね馬」は、現代では春の風物詩として橋や施設、菓子の名称や、えちごトキめき鉄道の路線名など、広く親しまれている。

雪消えの4月中旬、神奈山の北東側中腹に出現した頃は、前足を跳ね上げた躍動的な姿が、馬のように見える。しかし、4月下旬からゴールデンウイークにかけては、体が太めになり、背中が高く盛り上がってくる。そして、頭部にはっきりと角が確認できる。

角が生えた妙高の「跳ね馬」(2015年4月26日撮影)
*どれが「跳ね馬」か分からない人は写真をクリック
跳ね馬拡大S

「跳ね馬」は神奈山中腹に現れる(4月26日、妙高市はね馬大橋で撮影)
はね馬S

耕うん機が普及してきた昭和30年頃から農耕に牛や馬を使わなくなったが、それまでは生活の中で身近な動物だった。妙高の雪形も、当時の人は馬より牛の姿に近いと認識したはずである。

旧高田藩士が編集した『越後頸城郡誌稿』(明治34年刊)には、「山腹ニ例年牛ノ走ル形を顕す。明光山(妙高山のこと)ノ牛形トテ当郡七不思議ノ一タリ」とある。

山村民俗の研究者、岩科小一郎の『残雪絵考』(昭和13年)には「越後の妙高山の一峰神奈山東北方の大きな沢の左岸に、妙高の農牛と俚称される雪形が黒く出る」とある。

つまり、昭和の初め頃までは、妙高の雪形は「牛」だったのである。