漫画やテレビドラマで人気の「深夜食堂」が映画化され、県内の映画館で上映されている。この中に新潟県糸魚川市出身の女性が登場し、方言を使ったり、食堂で上越野菜のなますカボチャを使った三杯酢を常連客に試食させる場面が出てくる。ロケこそないものの、なますカボチャの堂々たる映画デビューになった。
映画の舞台は、東京・新宿の路地裏で深夜零時から午前7時ごろまで営業している小さな食堂。のれんには「めしや」とあるが、常連客は「深夜食堂」と呼ぶ。メニューは豚汁定食とビール、酒、焼酎だけだが、「あとは勝手に注文してくれりゃ、できるもんなら作るよ」というのが小林薫ふんするマスターの営業方針だ。
安倍夜郎原作の漫画は「ビッグコミックオリジナル」に好評連載中。ドラマは第3シーズンに突入しているが、本県ではBSNで昨年10月から毎週木曜、深夜1時28分に第1シーズンからさかのぼって放送中。映画版もドラマとほぼ同じ常連客が登場し、マスターと客たちとのしみじみとした交流を描いている。
初の映画化となった本作は、マスターが作る「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」を軸にした3話構成。このうち、2話目の「とろろご飯」は、新潟県の親不知から上京したが、お金がなくなり、"めしや"で無銭飲食をする女、みちるを多部未華子が演じる。後日マスターに謝罪に行き、腱鞘炎になったマスターの助手として住み込みで働くことになる。店に警察官が来て、新潟弁(糸魚川弁)で話すみちるに気付き、「新潟のどこ?」と尋ねる。するとみちるは「上越」と答える。そして「糸魚川の親不知です」と言う。最後に伏し目がちに故郷の親不知のことを語る場面は、映画の一番の見せ所となった。
みちるは料理の道を志した経歴があり、包丁研ぎが上手で料理の腕もいい。マスターと買い出しに行き、八百屋の店頭で「糸カボチャ」(なますカボチャ、糸うり)を発見する。みちるは店で輪切りにしてゆで、三杯酢を作って客に試食させる。常連客からは「おいしい」と大好評を得る。これで、なますカボチャの知名度がぐんとあがったかもしれない。
なお、1話目で、鉄板に卵を流し半熟状態でナポリタンのスパゲティーをのせる料理が出て、常連客が「田舎ではイタリアンって呼んでいた」と言うが、これは新潟のイタリアンではなく、名古屋の料理。また、関西の喫茶店ではナポリタンをイタリアンと呼ぶところもある。
↓「深夜食堂」公式サイト
http://meshiya-movie.com/