妙高市ロケの映画「滝を見にいく」が完成!11月上旬に上越市で封切り

新潟県妙高市でロケをした映画「滝を見にいく」が完成し2014年7月15日、関係者など約150人を招き上越市富岡のJ-MAXシアターで試写会が開かれた。11月上旬に同シアターで全国に先駆けて封切られ、その後東京など全国で上映される予定。

舞台挨拶に立つ沖田監督(左)と根岸さん
takiwo

メガホンをとったのは「南極料理人」(2009年)「キツツキと雨」(2012年)「横道世之介」(2013年)で数々の映画賞を獲得した沖田修一監督。今作が長編5作目となる。

「滝を見にいく」は、オーディションで選ばれた7人の普通の"オバサン"が主人公という日本映画初の試み。これまで沖田作品に出ていた高良健吾や役所広司、吉高由里子などのスター俳優は一人も出ないほか、オバサンの個性や特技を生かしてシナリオを書き直すなど、実験的要素が強い作品となった。

幻の滝を見るために温泉付きバスツアーに参加した7人のオバサンが、山道を散策中にガイドに取り残され遭難してしまう。食べ物もない、携帯電話も通じないという状況の下、年齢も性格もバラバラなオバサンたちが、日常で忘れかけていた自分を見付け、たくましくなっていく……というストーリー。

全編妙高ロケで、昨年10月25日から11月2日まで、合宿生活をしながら撮影された。映画の冒頭には関温泉近くの渓谷沿いに広がる鮮やかな紅葉が登場するほか、笹ヶ峰や斑尾高原、池の平のリブランの森、上小沢の「幻の滝」なども描かれる。

7月15日の試写会前に挨拶に立った沖田監督は「女性限定のオーディションをするなど、今までにない新しい試みをしてみようと思った。(妙高ロケは)黒い温泉に浸かり、おいしいご飯を食べて乗り切った。妙高がたくさん画面に出てくるので楽しんでほしい」と話した。

主演の7人のオバサンの一人、地元妙高市から選ばれて出演した根岸遥子さんは「妙高がこんなにいい所だというのが分かるといいなと思う。演技しなくてもいいということだったので、素のままの私が映ると思う」と話していた。
↓沖田監督と根岸さんの舞台挨拶(動画)

↓「滝を見にいく」公式サイト
http://takimini.jp/

【沖田監督と根岸さんとの爆笑インタビュー】

インタビューの2人

-自分が映画に写っているのを見てどう感じましたか。

根岸 自分が写っている場面は、自分のことが気になって冷静には見れないんです。(試写会で)皆さんがクスっと笑ったり、見ている雰囲気や反応が伝わってきました。

-どの映画にも当てはまらない新しい映画で実験的な要素も強いけれど、エンターテインメントとしても楽しめる画期的な映画でした。

沖田監督 深くは考えてなかったんです。普段やれないようなことができ、必然的に実験的になっているけれど、仕上がりを見るとすごく味わいのある作品になりました。自分が思っていたよりも誰が見ても…という作品になっていると思います。みんな面白がり方が違い、それが僕にとっても不思議で、とても好きな映画になっています。

-たとえば「横道世之介」で、高良健吾さんのせりふがとても自然でした。今回の映画もオバサンたちの会話がすごく自然だったんですけれど、皆さんの会話は地なんですか。

根岸 地ですね(笑)。演技はしないようにということだったので。

-シナリオとの整合性はどうなんですか。アドリブもあるんですか。

沖田監督 おもいっきりアドリブということはないんですけど、その人が感じて動いたことはあまり決めたくないと思っていました。「恋の奴隷」を歌う場面で、徳納さんが一人でワッハッハ、ワッハッハと笑っていたのは脚本にはないし、あの時の空気を感じて皆さんがやってくれた感じは生かしました。

- 「恋の奴隷」がクライマックスで、一番盛り上がったと思います(爆笑)。ああいうのは計算できないですよね。

沖田監督 そうですか(笑)。そうですね(笑)。やってみないと分からないですよね。

-映画の中でオバサンの特技がいろいろ出てきますね。根岸さんのつる細工や、太極拳、オペラとか。

沖田監督 川田さんがずっとオペラ歌手でやっていたし、荻野さんには太極拳を覚えてもらいました。滝の前で太極拳を捧げるというのをやってみたかったんです。

根岸 つるや木の皮で作っています。ちょっと趣味として覚えたんで。ヨット関係の仕事をしていたので、杖に糸を巻いたりするのは得意なんです。

沖田監督 それ初耳だったなあ(笑)。

-自然の中で、木の実やキノコを採ったりするのは根岸さんのアドバイスですか。

沖田監督 ロケハンへ行って(根岸さんに)「これ食べれる?」「食べられない?」とか聞きました。今回は人と自然に教わりながらシナリオを書いていました。スカンポとかね。

-これまで監督の作品を見た方が、今作を見たら「同じ監督の作品ではないのでは」と思うかもしれません。会話の自然さとか、独特のユーモアなど監督らしさは随所にありましたけれど。

沖田監督 自分が今までやってきたことと、そんなに変わりはないと思っているんです。どちらかというと、より自分の個人的な面白さを追求した作品になっているんじゃないかと思います。滝を見て感動している姿を見て、僕はいつも爆笑しているんですけど(笑)。オバサンたちがそこにいるリアリティを持ってくるだけでも、僕は面白くなっちゃう

-監督の作品だったら高良健吾や、今ドラマで大人気の吉高由里子が出てきたりするんですが、今回のストーリーでは出る幕はないですよね。

沖田監督 そうですね。出る幕ないですね(爆笑)。黒田大輔がちょっと出てくるだけで。キャスティングなど、あまりこんな形はないと思うんです。芝居ができる人と、芝居をやったことのない人がいて、互いに反応しながらやるのが面白かったです。

-昨年の笹ヶ峰のロケ取材で「有名俳優も使わず、ちょっと冒険すぎるんじゃないか」と監督に聞きました。ちょっと危惧もあったんですが、映画を見てそれは吹き飛びました。たぶん監督のファンは喜ぶと思います。

沖田監督 そうだとうれしいですね。

ーそれにしても、これだけスターがいない映画も珍しいですよね(爆笑)。

沖田監督 やろうとおもえばそういう人を呼ぶこともできたかと思います。そういうことではなくて、根岸さんみたいな人と映画を作ってみるという一つの試みだった気がします。そういうやり方でしかできないというか。

-監督の「ひと休み」の作品かな、と思ったらそうでもなかった(爆笑)。

沖田監督 頑張ってます。ハイ(爆笑)。少し短い(90分)作品ですが、変わらずというか、真剣でしたけどね(笑)。できることをやるだけという感じでした。

-根岸さん、この映画で「幻の大滝」が一躍有名になったらどうします。私も良くロケ地巡りをするんですが、必ずそういう人がいるんですよね。

根岸 滝だけではなく、笹ヶ峰なども入れたロケ地マップを今作っているんです。滝を見ていただいて、泊まっていただいて、という。

沖田監督 ロケツアーの最後はおじいさんのトラクターに乗るっていう(笑)。おじいさんはロケハンで見つけて、とてもいい顔していたので、最後の決め台詞を言わせてしまった(笑)。

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