【2014 午年アラカルト 1】 馬の雪形いろいろ

新潟県妙高市や上越市から見える日本百名山の一つ、妙高山(2454m)には、「跳ね馬」という雪形が現れる。4月中旬から5月上旬にかけて妙高の中腹、外輪山の神奈山に出現するもので、前足を蹴りあげた躍動感のある美しい雪形だ。雪形は種まきや春耕の目安とされたため、農耕に使われていた馬や牛になぞらえることが多く、各地に馬の形をした雪形がある。

妙高の跳ね馬(上越市中郷区岡沢 5月上旬)
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全国には駒ケ岳、駒形山、栗駒山など「駒」の付く山があるが、馬の雪形から名付けられたものが多い。新潟県内では魚沼市の越後駒ケ岳、阿賀町の駒形山などで、馬の雪形が伝承されている。

八海山の田掻き馬(5月上旬)
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また、山の名前とは関係ないが、柏崎市から見た米山北面には「駒形」と呼ばれる馬の雪形が出る。ほかに弥彦山の「駒形」、守門岳の「代掻き馬」、二王子山の「馬形」、八海山や巻機山の「田掻き馬」がある。

【上越地方の馬の雪形】

上越地方では妙高に現れる「跳ね馬」や「馬形」をはじめ、菱ケ岳の「馬形」(または馬鍬)、糸魚川市の駒ケ岳に現れる「跳ね子馬」がある。

◇妙高・神奈山の馬形

↓神奈山に現れる馬形(5月中旬)
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5月中旬になり「跳ね馬」の形が崩れるころ、神奈山の上部に馬の頭部の形をした馬形が現れる。妙高市関山付近からしか見えない。

◇菱ケ岳の馬形

↓菱ケ岳の馬形(5月上旬)
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上越市安塚区にある菱ケ岳の馬形は5月上旬に現れ、土地の人は馬形のどの部分から雪崩が起きるかで作物の出来を占う。「菱ケ岳の雪崩が菖蒲の方向に向いてついたときは豊作、赤雪崩は日照りが多く、黒雪崩は雨が多し。末広の雪崩は豊作、先細りは不作」(「伝承やすづか」)だという。しっぽの太い年は天候が良く豊作で、細い年は水不足で凶作とも言われる。

◇糸魚川駒ケ岳の跳ね子馬

↓糸魚川駒ケ岳の跳ね子馬(4月下旬)
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糸魚川駒ケ岳の跳ね子馬(または駒形)は、梶山集落から林道を500mほど進んだ所に現れる。雪消えの短い期間しか出現せず、山菜採りでもないと見られない「幻の雪形」である。同集落では豆まきの目安にしたという。