直江津港に帝石のLNGタンカー入港 操業に向け試運転へ

新潟県上越市八千浦の直江津港で2014年1月の商業運転開始に向けて作業が進む国際石油開発帝石の「直江津LNG基地」に2013年8月27日、LNG(液化天然ガス)を積んだタンカー船が初入港した。同社では今回荷揚げしたLNGを使って施設の試運転を開始する予定で、操業後は関東圏を中心に天然ガスの安定供給が可能になるという。

直江津LNG基地に初入港したLNGを積んだ船
LNG船

同基地に初めて入港したタンカー船は、インドネシアで生産されたLNGを積む総トン数9万7897トンの「タングー・フォジャ号」。インドネシアを18日に出発し、同基地には27日午前10時25分に着岸。今回は7万トンのLNGを荷揚げする。

同社は、原油価格の高騰などで、天然ガスの需要が今後も増加するとみて、中長期的な安定供給のため海外で生産されるLNGを受け入れる基地の建設を2009年から開始。現在はLNG18万キロリットルを貯蔵するタンク2基や、船が接岸する桟橋などの設備がほぼ完成している。

同社によると、荷揚げ作業などには約24時間かかるといい、タンクにLNGが入り次第、液体のLNGをガスに戻す設備などの試運転を行い、来年1月の操業を目指す。

開業後はインドネシアやオーストラリアなどから年間3~4隻のタンカー船を受け入れながら、基地で気化して、総延長1400キロのパイプラインで関東圏を中心に1都7県のガス事業者や企業などに販売する。

同社天然ガス供給本部長を務める坂本明範常務は「LNG船を受け入れたことで、天然ガスの供給源が多元化された。需要の増加に対応するとともに、供給安定性が飛躍的に高まる」と説明した。

同港にはこのほか、LNGを燃料に発電する中部電力上越火力発電所がある。

村山秀幸市長は27日の記者会見で「中部電力上越火力発電所とともに直江津港が大きく飛躍し、LNG部門の日本海側拠点港として上越を知ってもらえると思う。地域経済の活性化にもつながる」と期待した。