厚生会館基本構想策定 パブコメに「組織票」も

新潟県上越市は2013年2月13日、村山秀幸市長の公約として検討を進めてきた仮称・厚生産業会館に関するパブリックコメントの結果と基本構想を市議会建設企業委員会に説明した。パブリックコメントには過去最多の455人から意見が寄せられ、市は、これらの意見を踏まえ駐車場の増設を盛り込むなど当初の案を一部修正して基本構想をまとめた。

同施設については、市は建設場所を高田公園内のプール跡とし、こども施設を備えた建物とする基本構想案をまとめ、昨年12月から今年1月にパブリックコメントを実施。寄せられた意見や各団体からの要望などを踏まえて一部を修正した。▽高田公園の景観に配慮した建物とすること▽基本設計前の史跡の試掘▽ホール規模の拡大の検討▽市民プラザにあるこどもセンターの当面の存続▽駐車場の増設──などを新たに盛り込んで、基本構想を策定した。

スケジュールも一部変更した。当初、本年度内に予定していた基本設計が来年度にずれ込み、2014年度に実施設計を行い、2015年度から建設に着手し、16年度の完成を目指す。案に比べて完成は1年遅れとなる。

基本構想案については、高田地区地域協議会が昨年10月に「不適当」と市長に答申している。小林総明都市整備部長は「残念ながら高田区の意見は市と考えと違ったが、パブコメや高田地区地域協の意見を踏まえて、市として建設を進めるべきと政策判断した。来年度からは次のステップに進んでいきたい」と話した。

市議会建設企業委員会(2013年2月13日)
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パブコメ史上最多の455人 「組織票」が280人

仮称・厚生産業会館の基本構想案のパブリックコメントには、上越市では過去最多の455人から意見が寄せられた。上越市がパブリックコメント制度を導入した2003年以来、100人を超えたは今回が初めて。455人のうち、構想案について賛成が85%の386人、反対が11%の50人だった。

市の説明によると、このうち約280人分が特定の1団体によるいわゆる「組織票」だった。文面は同じだったが、筆跡が一人ひとり異なり、住所や氏名が明記されていることから、いずれも意見として受理されている。

小林都市整備部長は「組織票だが、会館建設への熱意の表れと受け止めている」と説明。455人から「組織票」を除くと、総数は171人で、賛成が115人、反対が47人になる。「組織票を差し引いても結果は同じ。必要性について賛成の意見が多かったと考えている」と話した。

議員からは「反対の組織票が大量にあった場合はどうするか」など組織票をめぐるパブコメ結果の正当性について疑問を呈する意見も出た。小林部長は「今回は組織票を引いても結果は同じだったが、パブコメの制度論としてどう考えるか若干の課題が残る」と答えた。

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◇仮称・厚生産業会館の整備検討のまとめ
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