故・小沢昭一さん 父が小熊写真館で修行

2012年12月10日に83歳で亡くなった俳優の小沢昭一さんの父は、新潟県上越市本町3の小熊写真館の創業者、和助さんに弟子入りして写真修行をしており、昭一さんは演劇の上演などで同市を訪れるたびに同写真館を訪れ、仏壇に手を合わせていたことが分かった。同写真館の小熊和子さん(92)が、小沢さんが上越市に来るたびにシャッターを切ったポートレートが多数残っている。

小沢昭一さんの父、哲男さんが修行した旧小熊写真館(愛知県・明治村)
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小沢さんは著書「美人諸国ばなし」(新潮文庫)で「私の父は長岡育ちです。山本五十六元帥の中学の後輩であることを自慢にしていました。写真の修行は新潟県高田市の小熊写真館で、兵役は高田の師団に入りました」と書いている。

昭一さんの父は、和助さんの妻の妹と結婚して、親戚関係になったこともあり、上越市を訪れる度に同館を訪れた。和子さんによると、仏壇に手を合わせる際、「小沢昭一が父、哲男を背負ってお参りしております」とつぶやいていたという。

自身が撮影した小沢さんのサイン入りポートレートを眺める和子さん
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和子さんは「私が嫁に来てから71年。その前の話なので哲男さんの修行時代は分かりません。私が初めて昭一さんを撮影したのが1970年ごろで、40歳ごろの写真です。その後、3、4回ほど訪ねてこられ、その度にポートレートを撮影しました」という。

小沢さんの印象については「イソップ物語の太陽のように、温かくて大きな人。気取らず人を大きく包んでくれる」と話す。

小沢さんの父が修行した1908年建築の木造2階建て洋風建築の旧写真館は、解体されて81年に愛知県犬山市の博物館明治村に移築された。2004年に小沢さんは明治村の村長となり、「自分の家に帰ったような気がする」と述べたという。

◇明治村の小熊写真館についての説明
http://www.meijimura.com/visit/s65.asp