上杉謙信を祭る新潟県上越市大豆の春日山神社で2012年8月16日、第87回謙信公祭(25、26日開催)に先立つ神事の後、謙信ゆかりの武術を継承する金沢工業大学の正伝長尾流躰術部が奉納演武を披露した。甲冑を付けた相手に対抗する抜刀術や、素手で相手の刀から身を守る躰術など、迫力ある動きと掛け声に、見ていた市民からは大きな拍手が送られた。
長尾流躰術は、謙信(長尾景虎)がライバル武田信玄との戦に勝つため、甥の長尾為明に考案させたと伝わる戦国時代の合戦武術。江戸時代に日常護身術となって加賀藩に伝わり、近年古文書を元に復元された。現在は金沢工大で学生らが伝承しており、毎年同祭典で演武を奉納している。
演武では敵を甲冑ごと砕いたといわれる金属製の打撃武器、鐵貫(てっかん)を用いた鐵貫術や、素手で相手の刀などを制する躰術、甲冑の隙間を狙って刀を繰り出す抜刀術を披露し、大きな拍手を浴びた。
主将の半田開千さん(19)は「戦国武将の武術を今の世に学べて光栄に思う。本番では全力を出しきれた」と話していた。