3セク破綻で大島区「大山温泉あさひ荘」が休業

上越地域で日帰り入浴ができる温泉施設の先駆けだった上越市大島区田麦の「大山温泉あさひ荘」が2012年3月1日、施設を休業した。上越市の指定管理者として同施設を運営してきた第3セクター「株式会社あさひ荘」(早川守社長)が経営に行き詰まり、2月29日付で職員を解雇して営業を停止、新潟地裁高田支部に自己破産の申し立てをしたためで、同施設を所有する上越市が休業を決めた。上越市は同社の資本金の54%にあたる650万円を出資していることから、3月1日に開かれた上越市議会文教経済委員会の冒頭、柴山弥松産業観光部長が委員に説明した。民間の信用調査会社の調べで、負債総額は7700~8000万円。

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あさひ荘は昭和50年代、国道253号の儀明トンネルの掘削工事で発見された鉱泉を利用し、柏崎原発交付金で建設された温泉施設で、旧大島村の福祉・観光事業の一環として1982年4月に株式会社大島村観光福祉公社を設立して運営してきた。1998年には露天風呂や薬草風呂、サウナを設けるなど施設の充実も図り、2000年3月期の年売上高は約1億8200万円を計上していた。

2005年の市町村合併以降は、上越市の指定管理者として現社名に変更して管理運営してきたが、過疎化などに加えて中越地震や中越沖地震以降に大きく利用者が減少するなど、近年は恒常的な赤字体質になっていた。

年間利用者はピークの1998年度は11万6641人だったが、2009年度は7万7842人、2010年度は7万6114人と落ち込んでいた。2009年度の年売上高は1億2450万円で、660万円の当期欠損が出て経営環境が著しく悪化したため、市が同社に経営改善計画の提出を求め、2010年度から経費の削減と集客の促進などを進めていた。しかし、その後も経営改善が進まず、2011年3月期は売上高が1億1745万円に低下し、1853万円の当期欠損を計上していた。市には2月29日に早川社長が説明に訪れた。従業員は正社員7人、パート24人の計31人で、2月末日付で解雇された。

上越市の村山秀幸市長は「経営改善に向けた取り組みを最優先で行うよう指導を行ってきたが、危機感を持った経営改善がなされず、結果としてこのような事態に至ったことは誠に残念。公の施設としての『あさひ荘』は、地域における大事なコミュニティの場、憩いの場でもあることから、少し時間をいただき、そのあり様について、庁内での検討や地域の皆さんとの協議を進めてまいりたい」とのコメントを発表した。