上越生まれの水稲新品種 すし用の「笑みの絆」

新潟県上越市稲田1の中央農業総合研究センター北陸研究センターは2012年1月30日、同センターで育種したすし用の水稲新品種「笑みの絆」をピーアールするため、市内のすし店で試食会を開いた。同センターでは「新品種を使ってみたいというすし店が地元に増え、多くの人に喜んでもらえたら」と話している。

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新品種は、すし米として定評があるハツシモから育成された「岐系120号」と、味が良い「収6602」を交配したもので、2002年から品種改良を進めてきた。08年からは「北陸225号」として特性検定試験などを行ってきた結果、すし米として高い評価を得たため、おいしさに笑みがこぼれ生産者との絆が築かれることを願って「笑みの絆」として品種登録を行った。栽培適地は、東北南部、北陸・関東以西。

「コシヒカリ」と「笑の絆」の玄米
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粘りが強すぎないためほぐれやすく、米粒がしっかりしており、酢によく馴染む。同センターの作物開発研究領域稲育種チーム、三浦清之上席研究員は「コシヒカリより収穫が1週間遅いので作業の分散ができる。倒伏しづらく、夏の高温に強いほか、玄米の白濁(白未熟粒)が少ないなどの特徴がある」と期待する。また、「外食、中食産業の割合は今後も増加していく。すしは外食の中で需要が大きく、すし専門店も多いので期待したい」と話す。

種もみの販売を手がける妙高市白山町2の大黒屋商店、金子孝専務は「今年は種子生産が中心で、3トンの種もみを確保したい。米としての販売は来年からとなる」と話す。

ネタをのせる前の酢飯。粘りは強くなく口の中にいれるとほろりとほぐれる
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試食会のすしを握った平成町の大寿しオーナーで、上越調理師協会会長の高木昭治さんは「普段はコシヒカリと、もう一種類をブレンドして使っている。今回は新品種を単独で使ったが、非常に握りやすい。粘りが抑えられていて、口に含んでもほぐれやすい。すしネタも引き立つと思う」と話していた。

試食した仲町3の倉本欣也さん(65)と妻の幸子さん(61)は、「カレー用のお米があるぐらいだから、いいネタにあうお米があってもいい」「かんだ時、ふわっとほぐれる感じがいい」と感想を述べた。

「笑みの絆」で握ったすしの試食会の様子の動画(1分22秒)