目がくらむ紙幣コレクション、23日から展示

新潟県内有数の紙幣収集家として知られる上越市板倉区の浄土真宗・浄光寺住職、平田真義さん(59)のコレクションが、2011年12月23日から長岡市の県立歴史博物館で開かれる冬季企画展「紙のお金、金のお金」で展示される。入手困難な日本で最初に発行された紙幣や、珍品中の珍品である未発行の対ソ連戦の軍票をはじめ、切手ほどの大きさの世界最少の紙幣や、A4判ほどもある世界最大の紙幣など約650点が展示される。イチローやGACKTの肖像入り1ドル冊もある。

出品する紙幣コレクションをチェックする平田さん(クリックで拡大)
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紙幣のコレクションを始めたのは、県立高校の地理教諭だった35歳のとき、資料として見たインドの紙幣がきっかけ。紙幣には公用語のヒンディー語や英語のほか、15の言語が書かれており、「多民族国家の教材として実物を入手し、生徒に実物を見せたいと思った」と話す。

取り扱い業者や関係機関が集まる東京へたびたび出掛けるうちに、紙幣の持つ魅力にすっかり取りつかれた。「一枚の紙幣の中に、政治、経済、産業、軍事、民族文化など、さまざまな要素が凝縮され、単なる通貨の枠を超えて、多くのことを教えてくれた」という。その後、資金面での限界や、戦争資料の収集というライフワークに本腰を入れたことから、約10年間で紙幣の収集は中止した。

同博物館での展示に伴い、約2000点のコレクションの中から650点を選び「歴史的紙幣」、「日本の戦争関連紙幣」、「珍しい紙幣」、「エラー紙幣」、「見本紙幣」、「軍票」、「その他の紙幣」、「擬似紙幣」の9部門に分けて、パネル45枚にまとめた。

中でも珍品中の珍品は、日本の陸軍が対ソ連戦を想定して1940年(昭和15年)に試刷した軍票(軍が戦地などで発行した紙幣)。実際に使用されることはなく、現在数枚が現存しているのみだという。入手は非常に困難で「自動車1台相当」という大変なプレミアムが付いている。

日本陸軍が試刷した対ソ連戦を想定した軍票
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また、1882年(明治15年)10月に日本銀行が設立され、85年5月に発行された日本初の紙幣(十円券)も非常に入手困難で「自動車1台相当」という。

日本銀行が発行した初の紙幣
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史上最高額が印刷された紙幣は第2次世界大戦中の1946年6月にドイツ支配下のハンガリーで発行された「10垓(がい)ペンゴ券」。10垓というのは1兆の10億倍のことで、0が21も並ぶ。猛烈なインフレによるもので、わずか1週間しか流通しなかったため、入手困難だという。

史上最高額のインフレ紙幣
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世界最小の紙幣は1915年にロシアで発行された、縦3cm、横2.4cmの切手大。あまりに小さいことや、切手と間違って使用されることもあり、評判は良くなかったという。一方、世界最大の紙幣は中国・明時代の1375年に発行された「大明通行宝鈔」で、縦33.8cm、横22cmもある。

小さな紙幣と大きな紙幣
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そのほか、アメリカの政府公認業者がイチローやGACKTなどの芸能人や著名人の写真を入れて作った1ドル札や、印刷ミスなどのエラー紙幣なども展示される。

日本の著名人の顔が印刷された1ドル冊
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近年のエラー紙幣
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県立歴史博物館の冬季企画展「紙のお金、金のお金」は2011年12月23日~2012年3月11日まで開かれる。入場料は一般500円、高大生は200円、中学生以下無料。

↓新潟県立歴史博物館の公式サイト
http://www.nbz.or.jp/jp