トノサマガエルも絶滅危惧種 上越市版RDB完成

=2011年11月1日更新=

新潟県上越市は同市で絶滅する恐れのある動植物をまとめた「上越市レッドデータブック」を発行した。6年かけて市内の動植物の状況とその生息環境をつぶさに調べたもので、普及版と本編の2種類を発行した。

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市では2006年に専門家による作成検討委員会を設置。現地調査などを経て、市内に生息する4000種類を超える動植物のうち、259種を選定し、絶滅の危険度により5つの区分で分類した。すでに絶滅した種は7種、絶滅の危機に瀕している種(絶滅危惧I類)は16種、絶滅の危機が増大している種(同II類)が81種などとなった。

絶滅危惧I類には湿地の水中に生えるミズニラやチョウのオオルリシジミなどが指定されている。また絶滅危惧II類には、トノサマガエルやカキツバタといった身近な生物として比較的よく知られているものも入っている。

普及版、本編とも動植物のそのもののデータのほか、希少な生物が生き続けるための生息環境についての記載も充実している。今回の調査では動植物の生息・生育している場所を地理情報システム(GIS)として詳細にまとめている。

ただ、利益を目的とした乱獲や盗掘、趣味の採集などに使わる恐れがあることから、詳しい生息場所は記載していない。

市環境保全課では「この本によって、身の回りの自然に関心を持ってもらい、希少となった生物が生存し続けられる環境そのものを大切にしてほしい」としている。

本編はA4判230ページで2500円。普及版はB6判210ページで500円。本編は市役所、13区の総合事務所、市環境情報センターのみで販売。普及版は市内の書店でも売っている。