振り込め詐欺多発 手口巧妙、電話も相次ぐ

「振り込め詐欺などの特殊詐欺撲滅強化期間」(2011年10月14日~11月30日)のさなか、新潟県上越地域で振り込め詐欺が頻発している。10月20日時点で、上越、妙高両警察署管内とも、振り込め詐欺の被害額は昨年1年間の2倍以上となっている。手口も巧妙かつ多様で、先月から振り込め詐欺とみられる電話が多数確認されており警察では注意を呼び掛けている。

上越署管内の今年の振り込み詐欺被害は6件で、被害額は合計365万円。昨年1年間の被害は5件151万円だった。妙高署管内では今年3件で被害額は368万円。昨年1年間は1件120万円だった。合計8件の内訳は架空請求が5件、融資保証詐欺が2件、オレオレ詐欺が1件。

被害額が最も多かったケースは今年6月、中郷区の60代女性が息子をかたったオレオレ詐欺に遭い、合計500万円を振り込んでいる。このうち200万円は警察による口座凍結で取り戻せたが、300万円はだまし取られたままだ。

被害者の年齢は幅広いが、手口は携帯サイトの利用料など架空の料金を請求したり、息子や孫などのふりをして振り込ませたりと、これまでもよく知られた典型的なものが多い。しかし、警察によると、細かい部分で巧妙になってきているといい、被害は後を絶たない。

最近の新たな手口としては、「最近変な電話が頻ぱんにかかってくるので警察に相談したら、電話番号を変えるよう指導され、電話番号を変えた」などと会話の中に警察を登場させて被害者を安心させだますオレオレ詐欺の電話がある。両警察署管内でも、先月中旬から今月にかけてこういった前兆電話が複数確認されている。また妙高署管内では、金融機関への振り込みではなく、被害者に宅配便を使わせて中身にを「書類」と記載するよう指示した上で、現金を送らせる手口が確認されている。

警察では「先月から今月にかけて前兆電話が相次いでいる。電話で即現金を要求されたら簡単には応じず相談してほしい」と注意を呼び掛けている。

写真・振り込み窓口で被害を食い止めようと、上越警察署は金融機関と連携した取り組みを強めており、振り込め詐欺の訓練を実施している(2011年10月13日、第四銀行稲田支店)
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【上越地域での今年の主な振り込み詐欺被害】
*60代男性が170万円被害(10月19日、上越警察署発表)
 上越署は2011年10月18日、上越市内に住む60歳代の男性から振り込め詐欺(融資保証)の被害届を受理した。
 男性は8月中旬、勤務する会社宛にファクスで送られてきた融資申し込み用紙を見て、300万円を申し込んだ。その後、事務手数料や供託金などの名目で、同月下旬までに指定された金融機関の口座に計170万円余りを振り込み、だまし取られた。
 同署によると、その後も供託金などを要求する連絡があり、不信に思った男性は弁護士に相談。警察に被害届を提出した。

*40代女性が16万円被害(2011年9月19日、妙高警察署発表)
 妙高署は2011年9月19日、上越市中郷区の会社員の40代女性が振り込め詐欺(架空請求)の被害に遭い、16万6000円をだまし取られたと発表。
 発表によると、女性の携帯電話に9月14日、携帯サイト運営会社から依頼を受けたと名乗る会社から「総合情報サイトから無料期間中に退会処理がなされていないために登録料金が発生し、長期延滞となっている。翌日の正午までに連絡をもらえなければ、身元調査後、民事裁判となる可能性がある」などと記載されたメールが届いた。女性がメールに記載された連絡先に電話をしたところ、担当者を名乗る男からサイト使用料金として現金16万6000円を要求された。女性は翌15日正午ごろ、男が指定した東京都内に宅配便で送金した。
 女性は知人に振り込め詐欺ではないかと指摘され、同署に相談し被害に気付いた。

*20代女性が51万円被害(2011年9月14日、妙高警察署発表)
 妙高署は2011年9月14日、妙高市在住の20代の女性が振り込め詐欺の被害に遭い現金51万5000円をだまし取られたと発表した。
 発表によると、8月中旬、女性の携帯電話に携帯サイト運営会社から依頼を受けたと名乗る会社から「以前登録いただいた総合情報サイトの退会処理がなされていない」などとするメールが届いた。女性がメールに記載の番号に電話したところ、「登録料金と延滞料金で21万5000円必要」「ほかにも未納料金は215万円あるが弁護士を雇えばなんとかできる」などと言われ、指定された住所に9月2日にまでに2回にわたり合計51万5000円を宅配便で送ったという。

*60代女性500万円だまし取られる(2011年6月9日、妙高警察署発表)
 振り込め詐欺で500万円をだまし取られたとして、上越市中郷区に住む60歳代の無職女性が2011年6月9日、妙高署に被害届を提出した。
 発表によると、女性の自宅に6月8日午前9時ごろ、息子を名乗る男から電話があり「女性とのトラブルで示談金が100万円足りない」などと言われ、女性は近くの金融機関で現金100万円を振り込んだ。その後も「本当はもっとお金が必要」などと数回にわたり電話があり、言われるまま9日までに計5回にわたって現金を振り込み、計500万円をだまし取られた。
 男は8日午前0時ごろ、6日に発生した携帯電話の通信障害で自身の電話が使えなくなったとして「会社の携帯を使っている」と話していた。その番号から現金を求める電話があった。
 金融機関から警察に連絡があった後、女性が息子に確認し、詐欺に気付いた。