2009年3月末でのれんを下ろした上越市最後の昔ながらの銭湯、上越市中央5の「吾妻湯」の取り壊し工事がこのほど行われ、2011年7月6日にはシンボル的存在だった高さ16m煙突が撤去された。
吾妻湯の建物は明治後期の1910年に建てられたもので、廃業した理由のひとつが建物の老朽化だった。取り壊し工事は6月29日から行われた。5代目店主の滝田暁一さん(71)は「地震が起きて建物や煙突が倒れて迷惑をかけてはいけないと思い、取り壊しを決めた。壊したとき、創業当時からの太い梁が何本も出てきた。一本ものの太い梁があったから、100年間も地震などに耐えたのだと思う」と話す。
↓シートの中で解体した煙突をクレーンで釣り上げた
(7月6日午前9時50分)
空高く煙がたなびく銭湯のシンボル的存在だった煙突の撤去工事は4日から始まった。煙突より高い足場を組み、白いシートで覆い、煙突内部の洗浄を行った後、6日に煙突を解体してクレーンで釣り上げる作業が行われた。銭湯がにぎわった時代を懐かしみ、近所の人も見学に訪れていた。
6日午後3時すぎには、最後の煙突が釣り上げられ、土台だけになった。
滝田さんは「子供のころ、旧直江津には銭湯が13軒あり、組合費を集めたり、組合の連絡に行かされたもんだ」と当時を懐かしむ一方、「これまで事故なく、商売をやらせてもらったことにほっとしている」と話していた。
営業中の吾妻湯(2009年3月)