ノギャル藤田志穂さんの農業講演に女性殺到!

農業についての講演会で、一般参加者のうち女性が8割を占めるというのは、上越市では前例がないのではないか。それも30代前後の若い女性が目立った。

講演する藤田志穂さん
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講師はギャル革命、ギャル社長、ノギャルとして知られるカリスマギャルの藤田志穂さん(25)。2010年11月9日夜、『イケてる農業革命』をテーマに上越市のリージョンプラザ上越コンサートホールで講演した。

上越青年会議所(山岸匡之理事長)のオリエンテーション委員会が、農業にもっと関心を持ってもらい、農業の必要性や可能性を知ってもらおうと企画した。

藤田志穂さんはギャル革命を掲げ、ギャルの考えを生かしたマーケティング会社を19歳で設立し、ギャル社長として様々な商品開発やプロモーションを展開した。2008年12月に引退し、食問題やエコ活動、AIDS予防の啓蒙活動を行いながら、2009年3月に「ノギャルプロジェクト」を始動。渋谷など遊んでいたギャルやモデルが、秋田県大潟村でコメ作りを行い「シブヤ米」として売り出している。

藤田さんは、父の実家が十日町市であり、中学生まで毎年訪れていたことから話し始め、「農業をメーンでやっている所で講演できてうれしい」と述べた。

19歳で起業したきっかけは、ギャルのイメージの悪さ。「すごく悔しかった」ことからマーケティング会社を設立し、ギャルの意見をイベントや新商品の開発とコラボする仕事に取り組んだ。その中で「自分自身も大人に対する偏見があって、どうせ聞いてくれないのだろうと思っていた」ことに気付く。

「ギャルは良くも悪くも、モノをはっきり言える人種で、色がダメとか、キャラが可愛くないとか、いろんな意見が出てくる。ちゃんと話ができる場所を作りキャッチボールができると、不可能なことが可能になる。個人的にも、若者と大人の架け橋になるという目標ができた」という。

環境保全活動にも取り組んだ。渋谷にある会社の周りのゴミ拾いを1週間に1度やり始めた。「遊ぶ町が汚れていたり、意外と自然が多かったりする。ごみ掃除をしていると、不思議とごみを捨てなくなる。それが分かるには、まず体験しなくてはダメだなと思った」。

次にビーチクリーンをやった。海の家を貸し切りにして、ライブをやった。ライブに参加するには、ごみを拾って袋に入れて持ってこなければならない。参加者が「初めてごみを捨てたやつがむかつくと思った」と言ってくれた。「若者たちが興味があるものと、つなげていくこと」の重要性を実感した。

農業に興味を持つきっかけは、十日町の祖父。毎年、新米を送ってもらっていたが、藤田さんが中学1年(13歳)のときに亡くなり、その後、新米が届かなくなった。

そのころ、農業者の高齢化などで、耕作が放棄された田んぼが多くなっていることを知り、「おじいちゃんの田んぼ」と同様の身近な問題として受け止めた。

「若い人がお手伝いできたら、農業も少し変わってくるのではないか」と思い、2008年12月に社長をやめて、食や農業への取り組みを始めた。

その際、(1)自分だからできること(2)自分がやれること(3)周りが求めていること──の3点をリンクしてやることを決意する。

そのためには知識が必要だが、時間がかかる。だから、知識を得る前に「まず、動くこと」を実践した。

農業の場合でも、まず体験してみること。「自然空間だけでなく、土の柔らかさや香りは来てみないと分からない。写メを撮って友達に送ったり、野菜を友達におすそ分けしたりしているうちに『今度連れてって』『行ってみたい』となる。体験すれば『この空気は肌にいい』など、違った良さに気付く」という。

秋田で作っているのに、なぜ「シブヤ米」と言うのか。きっかけは秋田の人からの一通のメール。「渋谷の忠犬ハチ公の出身は秋田なんですよ」。渋谷と秋田がリンクすることから、「何かおもしろいことができそう」と取り組み始めた。

それまで米についてのイメージは「太る」ということだった。プロポーション保持のために、ご飯を多めに残したり、高校生のときは白米抜きの弁当を持っていった。

だが、米は脂肪を燃焼するエネルギーになることを知り、ご飯がメーンの食事に変えたら間食がなくなったという。

「それでシブヤ米を作ろうと思った」。ギャルメンバーを5人集め、一般募集もかけた。トップモデルに会いたいと、多くの参加者が集まった。

50人が集まった田植えは雨が降り寒い日だった。いやな雰囲気が漂っていたが、「汚れたら洗えばいいじゃん」という参加者の一声で、笑顔が出た。「泥って肌にいい」「ダイエットになる」と喜ぶ人もいて、「ギャルは固定概念にとらわれず、どう楽しむかというのにたけている」と実感した。

その後、次々と企画を立ち上げる。「イケテル作業着」もその一つ。秋田のエドウインと共同開発したもので、カワイイだけではなく、携帯電話を入れても落ちないポケットなど、実用面でも使い勝手が良い作業着となった。

子供のうちに農業を体験することで、子供が職業を選ぶ際の選択肢になることが大事だと感じ、「ギャルママ&こどもで行く 収穫体験ツアー」もプロデュースした。

最後に「こんなにやりがい、達成感がある仕事は初めて。自分でやった結果が目に見えて分かり、何のために働くかを一番感じられる職業。これからも、若い人に食や農業に興味を持ってもらうきっかけづくりをしたい」と締めくくった。

藤田志穂オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/fujitashiho/

シブヤ米オフィシャルサイト
http://www.shibuyamai.jp/

上越青年会議所
http://joetsujc.com/2010/