上越市出身の渡辺樹里さん、郷里で初舞台

2010年春に新国立演劇研究所の3期生を修了し、俳優の道を歩き始めた上越市寺町3出身の渡辺樹里(じゅり)さん(26)が、2010年10月21、22の両日、郷里上越市のリージョンプラザ上越コンサートホールで「杏仁豆腐のココロ」の舞台に立った。21日の初日の公演終了後、大きな拍手とともに花束を受け取った渡辺さんは「初めて上越で公演できてうれしく思っています」と、会場に詰めかけた観客に深々と頭を下げた。

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渡辺さんは高校卒業後に俳優を目指して状況。さまざまな劇団で経験を積み、未来の俳優を養成する新国立演劇研究所へ2007年に入って演技を磨いた。この間、液晶テレビやスナック菓子のCMに出演。現在は市原悦子さんと同じワンダー・プロダクションに所属している。

上演した演劇は、映画「愛を乞うひと」で1998年度日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した鄭義信氏の脚本による二人芝居。1時間半の公演を二人だけで演じるため、せりふの量は膨大だ。

舞台の設定は、別れることを決めた同棲中の小夜子(渡辺樹里)と、達郎(安藤慎一)のクリスマスイブの一日。引っ越し荷物が散乱した部屋のこたつで、二人はコンビニで買ったおでんと杏仁豆腐をつっつき酒を飲みながら、二人の考え方が次第に食い違ってきた理由を語り合う。

やがて徐々に本音が出始め、二人は弱さをさらけ出してゆく。定職につかず専業主夫として小夜子の稼ぎに頼っている達郎のせいなのか。それとも小夜子の母の失踪と介護の問題なのか。二人がセックスレスとなったのは、ある原因があった……。

渡辺さんは複雑に心が揺れ動く小夜子を熱演。ダンボールを積み上げ電飾したクリスマスツリーの光の中で、小さいころから憧れていた女優になった気分で、チェーホフの『桜の園』のラストシーンを演じる場面がおかしくも哀しい。

郷里での初舞台を成功させた渡辺樹里さん(2010年9月)
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郷里での公演を成功させた渡辺さんの次の舞台は、井上ひさしさんの追悼、こまつ座第91回公演『水の手紙』『少年口伝隊一九四五』。2010年11月12日から21日まで、新宿南口の紀伊國屋サザンシアターで上演される。

こまつ座
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こまつ座オンラインチケット
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ワンダー・プロダクション
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