女性殺到!脱原発映画会で女性監督がトーク

東日本大震災からちょうど3か月が経過した2011年6月11日、原発から再生可能なエネルギーへの転換を提案する映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会と、鎌仲ひとみ監督のトークショーが上越市本町6の高田世界館で開かれた。東京電力福島第一原発が東日本大震災に伴う事故で放射性物質を大量に流出していることから、子供への影響などを心配する子連れの主婦や若い男女などをはじめ、約250人が詰めかけた。

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上映会直前の9日(現地時間)には、世界的作家の村上春樹さんが、スペインのカタルーニャ国際賞授賞式で「我々日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」と発言し、大きな反響を巻き起こしたばかり。また、上映会当日は原発に反対するデモやイベントが全国各地で行われた。

鎌仲監督はトークの中で、1998年にイラク戦争で米英軍が使った劣化ウラン弾で多くの子供たちが白血病やがんにかかって死んでいる現場を見てショックを受け、「劣化ウラン弾は原発から出たもので、私たちの出したごみだ」と気付いたことが、原発や核をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮るようになったきっかけだと述べた。

そして「ほとんどの人が、電気さえつけばいいと思っている。電気の先に原発があり、被曝労働している人もいる。そして使えば使うほど放射性廃棄物がたまる。さらに核燃料の再処理で出るプルトニウムは、ウランの20万倍の毒性を持つ」と述べ、無自覚に原発に依存して生活することの怖さを訴えた。

脱原発については、送電と発電の分離で送電線を社会のインフラにし、小さな自然エネルギーでも送電できる仕組みや、6つの電力会社の電気のやりとりを自由にする「平準化」により20~30%の効率が上がることで可能になると説明。「(脱原発)を決めるだけでいい。少しずつ足を抜いていけばいい」と述べた。

最後に「これまで原発は安全だと言い、事故が起きたら放射能は安全だとキャンペーンをしている。マスコミや政府が言うことをを鵜呑みにするのではなく、自分たちで情報を得て、自分たちで考えるということをぜひ皆さんにやっていただきたい」と締めくくった。

上映の当日が鎌仲監督の53歳の誕生日であり、主催者の橋本さんが花束を手渡した
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映画会と監督のトークを企画した市内在住の橋本桂子さん(38)は、「皆さんの顔や瞳が輝いていたし、監督へのいろいろな質問が出て、大きな手応えがあった。上越の人に見てもらいたいという思いが届いたと思う。未来への大きなともしびになった」と話していた。

YouTubeに鎌仲監督のトークを、質疑応答を除いてすべて収録した。映画を見なかった人でも分かる内容であり、マスコミには流れない貴重な情報なので、ぜひ多くの人に見てほしい。

↓鎌仲ひとみ監督のトーク=35分22秒=

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