維新の志士大集合 実は有名な「謎の写真」

上越市西城町3の県教職員互助会館「高陽荘」に幕末の志士ではないかという集合写真が展示され話題となっている。坂本龍馬や西郷隆盛、勝海舟、明治天皇までそうそうたる面々46人とされる集合写真で、一部地域紙が取り上げ紙面で情報提供を呼びかけているが、実はこの写真「謎のフルベッキ写真」と呼ばれている有名なものだ。

高陽荘での展示の様子 20100902tenjis

高陽荘に展示されている写真 20100902sisis 20100902setumeis

「フルベッキ写真」については東京新聞が2度(1985年6月29日付と2006年2月5日付)にわたって写っているほとんどは有名人ではないという特集記事を掲載しているほか、南日本新聞にも同趣旨の記事があり、ウイキペディアにも「フルベッキ写真」という項目がある。 これらを総合すると、この写真に写っているのは、佐賀藩が長崎に建てた英語学校「致遠館」で教鞭をとっていたオランダ人宣教師フルベッキ父子とその門弟たち。長崎の写真家、上野彦馬が写したもの。写っている多くは佐賀の学生だ。 この写真がどうして維新の有名人大集合になったかというと、1974年に肖像画家の島田隆資氏が雑誌「日本歴史」に、この写真に写っているのは西郷隆盛や高杉晋作、勝海舟、坂本龍馬、大隈重信らだとする論文を発表したのがきっかけ。学会では問題にされなかったそうだが、この見解はたびたびよみがえり注目される。最初に名前が付けられた有名人は22人だったそうだが、今は全員に名前が付いている。 また、この写真を焼き付けた十数万円の陶板が販売されたり、1985年には自民党の二階堂進副総裁(当時)が議場に持ち込み話題にしている。 高陽荘の写真は、教員の研修会で講師を務めた人から電子データで譲り受けたもので、2010年8月から入り口近くに展示している。教員の研修施設のため、やってくる教員たちが写真の前に集まり写っている人物の生没年や関係など歴史談義に花を咲かせる。同施設では「本物かどうかは別として、歴史のロマンを感じたり、語りあったりしていただければ」としている。