上越市の避難所の6世帯11人が南相馬に帰宅

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で上越市内の避難所で暮らしてきた福島県南相馬市の住民の一部が2011年5月28日、南相馬市の自宅へ集団帰宅した。上越市の避難所からの集団帰宅は今回が初めて。原発事故の影響が心配される中、住民は「うれしさ半分、不安半分」と複雑な心境を胸に2か月余り暮らした上越を後にした。

南相馬市へのバスを見送る頸城中の生徒たち
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見送られる帰宅者(右)
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帰宅したのは頸城区のユートピア頸城希望館で生活していた6世帯11人。南相馬市が用意したバスに乗り込み午前11時過ぎに出発した。希望館に常駐する南相馬市の職員によると、帰宅した6世帯の自宅は、原発から20~30Km圏内の「緊急時避難準備区域」にある。住民は帰宅しても、緊急時にはすぐに屋内への退避や避難できるよう備える必要がある。

夫と2人で帰宅する主婦、西内貞子さん(61)は「仕事を解雇され、これからの生活や放射線のことを考えるとうれしさ半分、不安半分」と表情を曇らせながらも「上越の方々には本当に良くしていただきありがたい」と話した。
 勤務先の病院が6月に再開するのに合わせ帰宅を決意した看護師、館山琴美さん(34)は「自宅に帰れて安心は安心だが、放射線のことを考えると心配」。一緒に帰る娘の若奈さん(13)は通っていた頸城中のクラスメートの見送りを受けて「良い友達ができたので寂しい」と涙をこらえていた。

上越市内の避難所にいる人は、5月28日午後時点で、66世帯207人。