サケ漁に異変 遡上激減「経験ない大不漁」 上越地域つかみどりイベント軒並み中止に

ピークを迎えている上越地域のサケ漁に今年、異変が起きている。サケの遡上数が例年に比べて少なく、中には捕獲数が昨年の半分以下に激減している河川もあり、毎年この時期人気のつかみ取りイベントも軒並み中止に追い込まれている。

国立研究開発法人水産研究・教育機構北海道区水産研究所(札幌市)がまとめたサケの県別来遊数によると、新潟県全体でも今年のサケの捕獲数は減少しており、2018年10月31日現在、1万6915匹で昨年の66%にとどまっている。

能生川(糸魚川市)は半数以下 17、18日のイベント中止

糸魚川市の能生内水面漁業協同組合によると、能生川では、昨年は11月5〜20日までの15日間で約5000匹を捕獲したが、今年は10月28日〜11月20日までの24日間で半数以下の約2000匹。例年は1日平均400〜500匹を捕獲しているが、今年は150〜200匹にとどまっている。斉藤雄司組合長(68)は「経験にない大不漁。自然相手なのでどうしようもない」と話す。

河口では、糸魚川市観光協会と能生内水面漁協が主催し、11月17、18日に「さけつかみどり大会」が予定されていたが、サケが確保できないとして1週間前に中止が発表された。今年で37回目の人気イベントだが、サケの遡上数が少なく中止したのは初めて。漁協独自に11月23〜25日に予定している「さけのつかみどり」は小規模なイベントのため実施予定という。

名立川(上越市)でも25日のイベント中止

上越市の名立川さけ漁業生産組合によると、名立川では、昨年は11月2〜20日までに約5200匹を捕獲したが今年は同期間で約4350匹。8割にとどまっている。1日平均でも例年は400〜500匹を捕獲するが今年は200〜300匹程度だという。11月25日に名立観光協会主催で開催予定だった「名立川鮭のつかみどり大会」は、関係者で19日に中止を決めた。イベントは過去にも一度だけ、サケの遡上が少なく中止したことがあるという。

毎年人気の名立川のつかみどり大会も今年は中止(写真は昨年)
20171126名立川サケつかみどり

名立川さけ漁業生産組合の斉京正一組合長(61)は「来年3月に放流するための卵の確保で手一杯。確保できなければ4年後のサケの遡上が減ってしまう」と話している。

桑取川(上越市)「昨年より半数近く少ない」

上越市の桑取川も昨年より半数近く少ない。11月21日現在、昨年は約5200匹を捕獲していたが今年は約2750匹。桑取川漁協の平井民夫組合長(70)は「うちはまだいい方。明日以降、雨が降り水量が増えて海水温が下がれば、遡上してくるのでは」と期待を込める。

研究機関「原因は不明」

北海道区水産研究所によると、サケの河川での捕獲と日本沿岸での漁獲は、昨年は太平洋側で減少した。サケ漁は4〜5歳魚が8〜9割を占めるが、昨年4歳魚で今年5歳魚となる2013年生まれのサケが少ないため、地域は異なるが2年連続で減少しているという。また大きさ(魚体)も全体的に小さい。

サケは稚魚で川に放流されたあと、日本海、オホーツク海、ベーリング海と移動する。その後は冬はアラスカ湾、春にはベーリング海に戻ることを3〜5年繰り返し、産卵のために生まれた川に戻ってくる。同研究所では「2年連続で2013年生まれのサケが少ないことから、(捕獲の減少は)この年のサケが影響していると考えられる」とするが、「詳しい原因はわからない」という。