テレビや動画サイトで話題になった「書き時計」の作者、鈴木完吾さん(24)が2017年7月23日、上越市下門前の上越科学館で書き時計の実演トークショーを行った。新潟県での実演は今回が初めてで、精巧に作られた仕掛けを間近で見ようと、多くの客が参加した。
書き時計は、東北芸術工科大学に在籍していた鈴木さんが、2016年の卒業制作で手がけた作品で、電気を使わず1分ごとに中央にある筆記版(磁気ボード)に時刻を書きかえて表示するもの。磁気ボードには磁力のある粉が入っており、表のアーム部分で時刻を書き、裏にある磁石で時刻を消す仕掛けになっている。
カタカタと音が鳴るカラクリ人形からヒントを得て、シナ合板の木材を使用し、歯車など400個以上の全ての木製パーツを手作りした。左右対称の完成形を目指す中で「同じアームに違う数字を書かせたり、4つの数字のタイミングを合わせる設計が特に大変で時間がかかった」というが、「木材は摩耗しやすく細かなメンテナンスが必要」と鈴木さんは話す。
トークショーでは、鈴木さんが書き時計の実演を交えながら、カラクリの仕組みや、制作時に苦労したことなどを話した。初めて間近で見る参加者がほとんどで、写真や動画を撮りながら作者の話に耳を傾けており、小学生は夏休みの自由工作の参考にしようと、メモを取ったりしていた。
幼い頃から機械仕掛けのカラクリが好きで、カラクリ人形に人間味を感じていた鈴木さん。「時刻が切りかわるところを見てもらいたい。複雑な動きをする面白さがカラクリの最大の魅力。電気の知識がなくてもカラクリは作れるので、多くの人に興味を持ってもらいたい」と話していた。
上越市春日山3の20代女子大学生は「ネットの動画を見て、一度実際に見てみたいと思い来場した。作者の方にも直接話が聞けて、とても勉強になった」と話していた。