祝!北陸新幹線の一番列車で初の殺人事件

トラベルミステリー作家、西村京太郎さんの最新長編「北陸新幹線殺人事件」がこのほど、実業之日本社から発刊された。西村氏は北陸新幹線の開業前、既に同新幹線を題材にした「北陸新幹線ダブルの日」(2014年12月)と、「東京と金沢の間」(2015年2月)の2冊を出している。今作は、東京発金沢行き「かがやき」の一番列車内で殺人が起き、十津川警部が解決するストーリーで、北陸新幹線内での殺人事件発生第1号の記念すべき作品となった。

2016年1月15日発刊の「北陸新幹線殺人事件」
北陸新幹線殺人事件S

鉄道雑誌の記者・伊東雅人は2015年3月14日の北陸新幹線開業日の一番列車を取材するため、徹夜をしてグリーン車の切符を購入する。しかし、見知らぬ男から、グリーン車より高級な同列車のグランクラスの切符と交換してくれと頼まれ、応じる。一番列車での取材を終え、金沢のホテルに着いた伊東は、自分が買ったグリーン車の隣席に座った人が車内で殺されたと知る。その後、伊東の周囲で3人の男が次々と事故などで死ぬ。十津川警部が捜査に乗り出すが、事件は戦後70年の恩讐がからんだ国際事件に発展してゆく……。

金沢までの延伸開業後、北陸新幹線を舞台にしたミステリーは今作が初。しかし、西村氏得意の時刻表トリックを使ったものではなく、北陸新幹線が描かれるのも第1章だけ。その上、速達型列車の「かがやき」なので、当然ながら上越妙高駅は“通過”してしまう。

2016年1月15日発行。204ページ、新書判。885円。

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