新潟県上越市は、成年年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が2022年4月1日から施行されることに伴い、成人式の対象年齢を引き続き20歳とすることで検討している。若者や市民への意見聴取でほとんどが「20歳での開催が妥当」との意見を寄せており、秋までに正式に決定する。
成人式対象年齢は自治体判断
20歳を対象に行われている自治体主催の成人式は、実施について法律の定めはない。成年年齢が18歳に引き下げられる2022年度以降の成人式の対象年齢も各自治体の判断に委ねられている。
雪国の上越市では、成人式は1月の成人の日ではなく、春の4月の第1土曜に行われている。このため改正民法施行後の初の成人式は、施行の翌日の2022年4月2日の開催となり、仮に対象年齢を18歳にすると高校卒業直後となる。
若者「高校卒業直後は慌ただしい」
上越市は、成人式の式典終了後に開催している「成人の集い」を企画運営した2017〜2019年の実行委員の新成人23人に聞き取り調査を実施。回答した18人全員が「20歳での開催が良い」と答えた。「高校卒業直後は進学や就職で慌ただしい」「久しぶりに(同級生と)再会したい」などが理由だった。
市民「保護者負担が重なり心配」
2019年7月10日に同市教育プラザで開かれた上越市社会教育委員・市立公民館運営審議会委員会議では、学識経験者や学校、社会教育関係者などの市社会教育委員20人に文書で意見を求めた結果が報告され、回答した16人全員が「20歳での開催が妥当」と答えた。
理由として「18歳では大人となったことを自覚していない」「当人達は成人式で同級生と会えるのも楽しみで、高校卒業直後は落ち着いた状況ではない」「成年年齢引き下げの理由は積極的な社会参加を促すもので、大人として認められたということではない」などがあった。
18歳での成人式は大学や専門学校などへの進学直後でもあり、晴れ着などで保護者の経済的負担が重なることを心配する意見も寄せられた。
また会議では出席した委員から、対象年齢に関わらず「年度始めの4月開催は非常に忙しい」として開催時期の変更を求める声もあった。
上越市 秋までに決定
今後、市長部局での方針会議や市教育委員で協議を行い、正式に対象年齢を決定する。上越市教育委員会社会教育課は「2年前から晴れ着を予約する家庭もあり、秋ごろまでに決め周知したい」としている。
県内では、糸魚川市が2022年度以降も20歳対象と5月開催を継続し、成人式の名称を「二十歳の集い」に変更することを決めている。