新潟県上越市春日新田5の「口福の店 魚住かまぼこ店」(田村博店主)はこのほど、歯が弱いお年寄りや野菜が苦手な子どもでも食べやすいトロリとした液体状の飲むかまぼこ「かまナイス」を全国で初めて発売した。
同店では2014年春、地元の高齢者の「かまぼこはおいしいけど、かたくてかめない」という声をきっかけに、かまずに飲んで味わえるかまぼこの開発に着手した。6年以上の歳月をかけて100回近くの試作を繰り返し、柔らかさや栄養価などの微調整を行った。今年6月にようやく商品が完成し、「かまない」と「ナイス」の二つの意味を込めて名付けた。
スケトウダラのすり身に、カボチャ、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンをそれぞれ混ぜ、4種類の味にした。野菜は同市安塚区和田の雪室で熟成させた上越地域ならではの雪室野菜で、すり身と同様に石臼ですって混ぜ、トロリとしたスープ状にし、カップの容器に入れた。消費者の健康を意識し、アミノ酸や保存料などの添加物は一切使用せず、塩分量も通常のかまぼこの3分の1程度に抑えられている。電子レンジで温めて飲んだり、白米や野菜、揚げ物などにドレッシングのようにかけて料理のアクセントとして使ったりもできる。
カボチャ、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンの4種類の雪室野菜が入っている
2020年12月15日の発売を前に開かれた試食会では、出席者から「(野菜の)くせをあまり感じない」「離乳食にもいいのでは」などの声が上がった。当初から開発に携わった小峰浩統括工場長は「飲みやすい柔らかさに保つことが非常に大変だった。魚や野菜の素材本来の味を楽しんでもらいたい」と話した。
田村店主は「これまでの『切る』『かむ』ものから、『飲む』ものというイメージになり、新しい時代が始まる。動物性タンパク質と雪室野菜がコラボしている。特に、かむ力が弱いお年寄りや野菜が苦手な小さいお子さんに、健康のために味わってほしい」と語った。
1個60gの4個セットで1080円(税込み)。同店のほか、同店ホームページでも購入可能。業務用にも利用できるよう、1〜3kgで事前予約販売もしている。
問い合わせは同店025-543-2438。