新潟県上越市の市立水族博物館「うみがたり」は2019年10月16日、マゼランペンギンの一大生息地のプンタトンボがあるアルゼンチン・チュブ州政府から、マゼランペンギンの「生息域外重要繁殖地」に指定された。同館でのマゼランペンギンの繁殖実績などが評価されたもので、指定は国内初となる。
生息域外重要繁殖地は、水族館や動物園、保護センターといった実際の生息地以外の場所で、生物が十分に繁殖できる環境が整えられ、絶滅の恐れから救うために重要な地と認められるもの。準絶滅危惧種であるマゼランペンギンの保全に向け、うみがたりは重要な施設と位置付けられたといえる。
現在、うみがたりには124羽のマゼランペンギンがおり、飼育数は世界一。オープン後初めての繁殖期を経た今年、旧水族博物館時代の平均7羽を大きく上回る18羽の繁殖に成功した。プンタトンボの環境を再現した施設にしたことが奏功したといい、旧館時代から通算して27年間で最も多かった。
上越市とチュブ州は今年2月にマゼランペンギンの保全を目的とした協力協定を結んだことから、10月14〜20日の日程で野口和広副市長がチュブ州を訪問し、州観光省のネストル・ラウル・ガルシア大臣と面会した。16日に上越市がチュブ州のマゼランペンギンの研究、保全活動に協力することや、チュブ州が上越市に野生での繁殖に関する情報を提供することなどの付属文書を交わした。=写真=。
この付属文書の中で、うみがたりが生息域外重要繁殖地に指定された。
アルゼンチン・プンタトンボの環境を再現したペンギンミュージアム
上越市の村山秀幸市長はうみがたりの飼育や繁殖への取り組みが評価されたとし、「マゼランペンギンとその生息環境を将来にわたり保全していくことは、当市とチュブ州にとって大きな意義がある。引き続き着実かつ具体的な交流を積み重ね、マゼランペンギンの保全に取り組んでいきたい」とコメントしている。