「日本郵便の父」前島密の没後100年で記念誌刊行 貴重な資料満載の1冊に

新潟県上越市下池部(旧下池部村)出身で、「日本郵便の父」として知られる前島密(1835〜1919年)の没後100年に合わせ、「郷土の偉人“前島密翁”を顕彰する会」(堀井靖功会長)が、記念誌「前島密 ふるさと上越との絆」を刊行した。上越の地で生まれ、日本の近代郵便制度構築の偉業を成し遂げた密の足跡を記載しているほか、市民らから提供を受けた、密の手紙や掛け軸などの写真も多数掲載。郷土の偉人の足跡を1冊にまとめた。

市民らから情報募り編集

密の没後100年記念事業の一環。同会では昨年4月から、市民らに向け密に関する資料や逸話などの情報提供を募り、約100点が集まった。情報は新潟市や長岡市、東京からも寄せられたといい、会員たちはその後取材・編集などを進めてきた。

完成した記念誌「前島密 ふるさと上越との絆」
前島記念誌刊行2

自筆の掛け軸や手紙など豊富に掲載

記念誌では、日本の近代郵便制度を構築させた偉業から、書や漢詩、俳諧を学び多くの作品を残したこと、東京専門学校(現・早稲田大学)の2代目校長を務めるなど他分野で功績を残し、1919年に神奈川県横須賀市で84歳で生涯を閉じるまでの一代記を掲載。貴重な資料の写真も豊富で、書の掛け軸は34点を収録した。そのほか、1931年からの犬養毅内閣で、外務大臣として活躍した上越市諏訪(旧諏訪村)出身の芳澤謙吉(1874〜1965年)に宛てた手紙なども載せている。

「立派な冊子できた」

堀井会長(77)は「ふるさとに残る前島さんの足跡を何とかして記録にとどめたておきたいという思いでスタートした。掛け軸や手紙など所蔵者がたくさんいらっしゃって、資料を提供いただけ、掲載できた。前島さんの功績や人柄などについてもっと知ってほしいし、地域の活性化にもつながればうれしい」と刊行を喜んだ。利根川文男館長(71)は「こんな立派な人が上越出身だということに誇りを持ってほしい。顕彰する会が熱意を持って取り組んだからこそ立派な冊子ができた」と話した。

密の銅像前で記念誌を披露する、「郷土の偉人“前島密翁”を顕彰する会」メンバーと利根川館長
前島記念誌刊行1

希望者には郵送配布も

記念誌は、B5判64ページ。フルカラー。6000部発行し、刊行にあたり情報を提供した人や、市内の小中学校、関連団体などに配布する。一般の希望者向けに1000部用意し、同館見学者に無料で配布する。郵送での受け取りも可能で、住所、氏名を記入し、215円分の切手を貼ったB5判の封筒を同館(〒943-0119 上越市下池部明神替1317-1 前島記念館内「前島密没後100年記念誌」係)宛に送り申し込む。

配布に関する問い合わせは、同館025-524-5550。