「城の被害は見た目より軽微」春日山城跡を文化財調査官が視察

先月の大雨で山城の斜面が崩落した上越市の国指定史跡、春日山城跡を2016年8月16日、文化庁の文化財調査官らが視察し、被害状況を確認した。調査に当たった中井将胤文化財調査官は「城の遺構の被害は見た目より少なく、安心した」と話した。市では同庁や県などと協議の上、土砂の撤去などに着手する。

国、県、市の担当者15人が被害現場を視察した
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7月26日の大雨では、高田の24時間降水量が、観測史上最大の243ミリを観測。春日山城跡の直江屋敷と二の丸の間の但馬谷が幅30m、高さ25mにわたって崩落し、土石流が市道下の沢に流出した。被害か所はブルーシートで覆われ立入禁止となっており、市役所付近の謙信公大通りからも痛々しい姿が見える。

春日山城跡は国指定の史跡で、この日は中井調査官のほか、県教育庁の担当者、市文化行政課など合計15人が、被害現場に入り、約1時間半にわたって視察した。

視察を終えた中井文化財調査官は「谷の土砂が流れているが、城自体の重要なところの被害は少ない」と説明。今後は秋ごろから土砂の除去と登り口の市道復旧を行い、年度内に測量、設計、来年度以降に本格的な修復に取り掛かりたいという考えを示した。修復に向けた具体的なスケジュールや手法などは市が同庁や県と協議して決める。

春日山城跡の崩落した場所は侵入禁止となっているが、春日山神社から毘沙門堂を通って本丸へと登れるほか、大手道から柿崎和泉守屋敷、上杉景勝屋敷を通るルートでも本丸に行くことができる。

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