台紙に貼って集めるスタンプが、稲田商店街を最後に旧上越市から消滅

＝2015年5月17日現在＝

昭和30年頃から平成に入った頃まで、商店街で買い物をすると100円に1枚、スタンプがもらえたものだ。スタンプを集めて台紙に貼って持参すると、加盟店で商品に交換できた。子供の頃、台紙にスタンプを貼る作業を手伝った記憶がある人も多いだろう。

グリーンスタンプやブルーチップスタンプなど全国規模で展開するスタンプ（ナショナルスタンプ）がある一方、一部地域で発行するものはローカルスタンプと呼ぶ。新潟県上越地方には、かつて20種類以上のローカルスタンプがあり、人気を集めた。そのローカルスタンプが2015年の夏、旧上越市から消滅する。

新潟県上越地方で発行されていたローカルスタンプ

稲田サービス店会シールが旧上越市内最後

上越市稲田1～4丁目の商店で構成する稲田商店街では、昭和37年から続いている「稲田サービス店会シール」を、今年11月30日の同商店街解散に伴い、8月末で発行を停止する。

佐藤康夫理事長によると、旧上越市にあったスタンプは既になくなっており、稲田商店街が最後まで残ったスタンプだという。「平成10年頃、スタンプの発行が年に2割ほど落ち続け、発行をやめようかと思った時期があった。ピークは昭和40～50年頃で、毎年11月に行った交換会はにぎわった」と振り返る。

上越地域のスタンプの歴史を振り返ってみた。

上越地域のスタンプの歴史

旧上越市内で発行されていたスタンプの台紙

新潟県上越地方のナショナルスタンプは、直江津地区の商店主らが、客が高田に流れるのを食い止めようとゴールデンスタンプを昭和30年頃に導入したのが初めて。その後、グリーンスタンプ、ブルーチップスタンプ、ギフトボンドスタンプなどが進出し、昭和45年頃には商店街にブルーチップスタンプの交換所、グリーンスタンプのギフトセンターができた。

地元版のローカルスタンプは、一般商店が「盆暮れ払い」から現金での購入を進めるために導入した例が多く、昭和50年代後半からは、大型店対策としての効果が期待された。景品交換所を持たないローカルスタンプの場合は、台紙にスタンプを貼って商店に持っていくと、それが商品券として使える場合が多かった。旧新井市のダイヤモンドスタンプように現金と交換できたり、年に１回ほどの旅行企画を行っていた地域もある。

景品は、入進学や就職シーズンには文具やアイロン、ドライヤーなど、夏にはレジャー用品、クリスマス前にはおもちゃが人気を呼んだ。

ローカルスタンプは長く続いたが、上越市の高田では平成9年にポイントカードの「本町ゆめカード」がスタートし、スタンプ形式が廃れていった。妙高市新井地区では、平成10年にダイヤモンドスタンプから、「あらいカード」に切り替えた。過疎化などでポイントカードに切り替える力がない商店街では、スタンプ発行も次第に衰退していった。

旧上越市

◇「直江津ママスタンプ」（～会）昭和35年発足
◇「みつばちシール」（蜜蜂会）昭和35年発足
◇「ハッピーシール」（上越ハッピーシール会）昭和42年発足
◇「稲田サービス店会シール」（～会）昭和37年発足
◇「ダイヤモンドスタンプ」（～会）昭和45～46年発足
◇「和田サービス券」（和田商工会）昭和35年発足

直江津ママスタンプ	みつばちシール	ハッピーシール
稲田サービス店会シール	ダイヤモンドスタンプ	和田サービス券

上越市13区

◇「大潟スタンプ」（大潟町商工会サービス店会）昭和34年発足
◇「お買上サービス券」（三和村サービス店会）昭和38年発足
◇「商工会スタンプ」（頸城村商工会スタンプ会）昭和38年頃発足
◇「清商スタンプ」（清里村商工会スタンプ会）昭和38年発足
◇「ダイヤモンドスタンプ」（牧村サービス店会）昭和39年頃発足
◇「サービスシール」（安塚町サービス店会）昭和40年発足
◇「サービスシール」（浦川原村サービス店会）昭和41年発足
◇「名立町サービス券」（～店会）昭和41年発足
◇「黄金スタンプ（板倉町）」（～会）昭和42年発足
◇「吉川町サービス券」（～店会）昭和48年発足
◇「はまなすスタンプ」（柿崎町スタンプ会）昭和58年発足
◇「すずらんスタンプ」（中郷村すずらんスタンプ会）昭和40年発足