スマホで119番映像通報 上越地域消防局で運用開始

上越地域消防局は2024年9月9日から、119番通報をした人にスマートフォンで撮影した映像をリアルタイムで送ってもらう映像通報システムの運用を開始した。火災や交通事故などの現場状況を視覚的に把握することで、的確な消防、救急活動につなげていく。

消防とスピーカーモードで通話しながら現場の様子をスマホカメラで写して共有することが可能に

県内では本年度から、長岡市や糸魚川市、新潟市などで映像通報システムの運用を順次開始している。上越市と妙高市を管轄する上越地域消防局では、9月9日の「救急の日」に合わせて導入した。

映像通報は、言葉での状況説明が難しい場合や応急手当てを要する場合など、消防が必要と判断した場合に通報者に利用を提案する。通報者は、スマートフォンに消防から届いたショートメッセージに記載されたURLにアクセスし、「通報する」ボタンをタップするとカメラが起動するため、現場の様子を撮影する。場合によっては、心肺蘇生や止血方法などの参考動画が消防から送られ、映像を見ながら手当てすることもできる。 

運用前の5日に開かれた報道機関向けのデモンストレーションでは、通報者が心肺蘇生の様子を撮影し、消防から「手の位置をもう少し頭側に動かせますか」などと指示が出ていた。

通報者からの映像を見ながら指示を出す消防職員

同局では昨年、1万6338件の119番通報があり、このうち764件で応急手当ての口頭指導を行っている。

同局指令統制課の江口貴宏指令統制係長は「映像通報で正確な現場の状況を把握できることにより、的確で迅速な現場活動につながる。応急手当てが分からない人には参考動画を送ることで、正確な手当てをしてもらい、救命率向上が期待できる」と話し、市民に向けて「映像通報が必要なときはこちらから依頼するので、可能な範囲で撮影にご協力をお願いします」と呼び掛けた。