不登校の児童生徒の「学びの機会」確保考える 上越市の検討委員会が初会合

新潟県上越市教育委員会は2024年5月24日、不登校の児童生徒の学習機会の確保や支援のあり方を考える「学びの多様化検討委員会」の第1回会合を、同市土橋の上越市市民プラザで開いた。2023年度の市内の不登校の小中学生は過去最多となっており、不登校の児童生徒を対象にした「学びの多様化学校(不登校特例校)」の設置も視野に、支援の拡充を検討していく。

学びの多様化検討委員会の初会合

市教委によると、2023年度の市内の不登校の児童生徒は中学生が264人、小学生が140人の計404人で過去最多となり、学習機会や居場所の確保、状況に応じた支援の充実が急務となっている。学びの多様化学校は、学習指導要領にとらわれず、不登校児童生徒の実態に配慮した授業時間や指導内容を柔軟に決定できる文部科学大臣指定の学校で、全国に35校あるが本県にはない。

検討委員会は、市内の不登校対策の取り組みや課題を検証し、拡充が必要な対策を探るもので、上越教育大学いじめ・生徒指導研究研修センター長の高橋知己教授を座長に、PTAやフリースクール、小中学校などの代表や、臨床心理士、スクールソーシャルワーカーなど14人の委員で構成する。

初会合で早川義裕教育長は「(不登校によって)不利益を被っている子どもたちがいる現実から目を背けてはいけない。全ての子供たちに学べる機会や環境を整えることが我々の役目だ。今ある組織を充実・強化させ、それでも限度があれば、『学びの多様化学校』がモデルの一つ」とあいさつした。

会議では市教委から、不登校の児童生徒の状況と支援策や課題の紹介のほか、7月に市教委が行った宮城県と東京都大田区の学びの多様化学校の視察内容が報告された。委員による意見交換は非公開で行われ、教員の減少や児童生徒の個別の問題にどのように対応していくかなど、学校現場やフリースクールそれぞれの現状や課題を出し合ったという。

会議後、高橋教授は「何が子どもたちにとって最適なのか、学ぶ場を作るのは重要で、学校や家族の声も聞きながら上越市としての取り組みを考えていきたい」と話した。