今年に入り、新潟県上越市高田の町家などが連なる建物密集地で火災が相次いだことを受け、町家住民を対象にした防火座談会が2024年5月13日、同市仲町2で開かれた。町内から約15人が参加し、町家の構造や延焼リスクの高さなどを学んだ。
建物がひしめき合う高田の雁木通りでは今年、2月に本町6で6棟、3月に本町1で8棟が燃える火災が発生した。消防では近隣町内で戸別訪問を行うなど防火啓発に力を入れており、今回は上越地域消防局の主催で、参加者に臨場感を感じてもらおうと初めて空き町家を会場に開いた。
間口が狭く奥に細長い高田の町家は、2軒で屋根を共有し壁1枚で仕切られた「相家(あいや)」や、外壁が防火構造のない土壁になっているなど、延焼しやすい構造のものが多い。同局予防課の宮崎博子課長(59)は町家の模型を見せながら解説し、隣家に接するため前後2方向からしか放水できない消火の困難さも指摘。その上で、火災が起きた場合は「住宅用火災警報器で火事に早く気付くこと、消火器で早く消すこと。何かあったときには助け合って」と自助、共助の重要性を訴えた。
また、会場の町家内を参加者が見て回り、茶の間に置かれたたばこの吸いがらやたこ足配線、仏壇の線香など、日常生活の中で何が出火原因となり得るかを改めて確認した。
町内会長の川島秋男さん(67)は「(本町の火災は)他人事ではない。防火の考えがより強くなる機会を作ってもらい、いい講習会だった」と話した。宮崎課長は「改めて町家の構造や延焼の危険性を分かってもらえたと思う。(火災を防ぐには)一人一人が用心するしかない。生活の中での危険性に気付いてもらいたい」と話していた。