東北電力上越火力発電所で初の定期点検 ガスタービンなど分解

東北電力は2024年5月10日、新潟県上越市八千浦の上越火力発電所1号機(出力57.2万kW)の営業運転開始後初となる定期点検の様子を報道陣に公開した。定期点検は設備トラブルの防止など発電所の安定運転に欠かせないもので、発電を停止してガスタービンなどを分解し詳細に点検している。

分解点検中のガスタービンローター(手前)と蒸気タービンローター

同発電所はガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせたコンバインドサイクルの発電設備で、最新鋭のガスタービンを採用し、2022年12月に営業運転を開始した。同月に世界最高となる発電効率63.62%を達成し、2023年1月にギネス世界記録に認定された。

定期点検は電力需要が高まる冬や夏を避け、今年3月16日から6月28日まで104日間の計画。発電設備は初号機のため、想定しないトラブルが発生する可能性もあり、全ての機器を分解し点検は慎重に行われている。

発電機を回すガスタービンや蒸気タービン、熱交換器の排熱回収ボイラーなどを分解し、部品や配管に劣化や異常がないか目視や検査で確認して必要に応じて補修や部品交換を行う。作業する企業は約80社、期間中のべ約3万人の作業員が従事する。5月10日現在、全工程の約50%の進捗(しんちょく)率となっている。

分解点検を終え、大型クレーンで車室に格納されるガスタービンローター

この日は、1か月あまりかけて分解点検したガスタービンローターを元の気密性の髙い車室に戻す作業が行われた。全長約13m、直径約1.5m、重さ約110tのガスタービンローターを大型クレーンでつり上げ、約20人の作業員がローターと車室の数mmの隙間を100分の1mm単位で計測しながら据え付けた。

鈴木康吏所長は「今回の詳細点検を実施することにより、(電力需要が高まる)夏場の安定供給に努めたい」と話した。

東北電力上越火力発電所(東北電力提供)

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