新潟県上越市高田の雁木通りの環境整備に取り組む長岡造形大学(長岡市)の学生が制作した「ベンチ型あんどん」が2024年5月4日、昨年に続き同市大町5に新たに2台設置された。座り心地やデザイン性を高めた第2弾で、夜の雁木下を優しく照らしている。
昼間はベンチとして使え、夜には暗い足元を照らす明かりとなるベンチ型あんどんは、同市出身の卒業生が、卒業研究として高田の雁木通りを調べる中で考案した。ベンチ型4台と縦置き型1台を制作し昨年3月、高田地区の街並み保全に取り組むNPO法人「街なみFocus」(岸波敏夫理事長)に寄贈。大町5や東本町1の雁木下に置かれ、近隣住民らに親しまれている。
新作2台は後輩たちが継続的に雁木通りの整備に取り組もうと、昨年4月に立ち上げたものづくりサークル「木匠(もくしょう)塾」が作った。約40人が所属し、サークルとして初めての作品に設立のきっかけとなったベンチ型あんどんを選び、立案から約5か月かけて完成させた。
前作は通行を妨げないようにとあえて幅を狭くしたコンパクトな仕様だったが、使用者の意見を聞く中で「ゆったりと座りたい」といった意見があり、広い雁木下への設置を想定して高さ44cm、長さ100cm、幅38cmと安定感のあるサイズに変更。太陽光パネルで発電し、暗くなると自動点灯する仕組みで、電球も5個から8個に増やした。
新たに前面に錦鯉をデザインしたサークルのロゴを、格子には川の流れをイメージした立体模様もあしらった。材料費や現地調査にかかる交通費のほとんどは、学生が学園祭や地域のイベントで木製雑貨などを販売した利益でまかなった。
この日は制作したメンバーを代表し、建築・環境デザイン学科3年の久保田理惟さん(20)、同2年の金井南樹さん(20)、デザイン学科2年の奥野杜音さん(19)の3人が同法人に寄贈しに訪れた。岸波理事長(69)は「お年寄りが座っている姿を見るとあってよかったと思う。夜も明かりがあると奇麗でありがたい」と感謝した。
昨年度サークルの代表を務めた久保田さんは「圧迫感があるかと思ったけれどそんなに感じず、景観にも合って良かった。2人で座れる仕様になったので、友達と休憩したり話したりするのに使って、たくさんの人に座ってほしい」と話していた。