新潟県上越市は2024年5月8日、リージョンプラザ上越の指定管理者である新東産業(本社東京都)が同市に提出した実績報告書に虚偽の記載があったとして、弁護士らに依頼して調査を開始したと発表した。市によると、実績報告書に記載された金額は実際の支出よりも多く、2022年度までの5年間で合計約1億円過大に記載されていたという。
2月27日、市に通報があった。同社は市の求めに応じて、4月に2022年度までの5年間について、実績報告書とは異なる実際の支出額一覧と、領収書などの証拠書類を提出。市によると、例えば2022年度のアイスアリーナ委託料は実績報告書に1800万円と記載されていたが実際の支出は1056万円だった。また、同じ年度の除雪機リース料も実績報告書52万8千円に対して実際の支出は半額以下の24万9千円など、委託料や賃借料などで実態と異なる金額が複数記載されていた。
市は、こうした過大な記載が、指定管理料の精算や額の算定に影響を及ぼし、市に損害を与えている可能性が高いとして、7日付で公認会計士と弁護士に依頼し調査を開始した。調査対象は同社が20年間指定管理業務を受託してきたリージョンプラザと同社が受託している上越科学館、柿崎総合体育館など合計7施設。調査期間は7月末までを予定している。
市は、調査結果が出てから同社に対する行政処分などを検討するとしている。記者会見した白石聡教育部長は「市としては今回の事案を重く受け止めている。リージョンプラザ上越はアイスアリーナなど施設の特殊性があり、すぐに指定管理者を変えることは難しい。全容解明に注力したい」と話した。
一方、市によると、新東産業に虚偽報告をしたという認識はないという。
白石教育部長は記者会見で「実績報告書に記載すべき内容の認識が、市と異なっていて、新東産業は虚偽記載とは認めていない。新東産業からは『実際にかかった金額に利益を載せて記載した』などと説明を受けた」と説明した。
上越タウンジャーナルは新東産業に見解やコメントを求めたが、記事公開の時間までに回答が得られなかった。