【動画】上越市で国の特別天然記念物コウノトリのひな誕生 新潟県内初 

新潟県上越市吉川区の電柱に作られた巣で2024年5月6日、国の特別天然記念物のコウノトリの卵が孵化(ふか)したとみられることがわかった。ひなは巣に隠れていて見えないが、親鳥が餌を与える行動が専門家によって確認された。1971年に野生のコウノトリが絶滅して以降、新潟県内で野外コウノトリのひなの誕生は初めて。また特別天然記念物のトキとコウノトリの繁殖に成功したのは本県が全国で初。

ひなが誕生したコウノトリのつがい(橋爪法一さん提供、2024年5月6日撮影)

営巣段階から観察を続けてきた市議会議員の橋爪法一さん(74)によると、3月末に電柱の先端に営巣しているのが確認され、4月2日には抱卵を始めた。5月6日になって親鳥がひなに餌を吐き下して与える様子が見られ、兵庫県立コウノトリの郷公園主任研究員で兵庫県立大学大学院の布野隆之准教授(47)が動画で確認した。ひなは2、3日で巣から頭を出す姿が見られるようになるという。

抱卵していた時のコウノトリ(同、2024年5月2日撮影)

つがいのうち雄は足環から、2020年4月9日に兵庫県豊岡市で生まれた個体とみられている。

布野准教授は「北陸方面ではこれまで石川県まで繁殖が確認されていたが、より北に分布域が広がりうれしい。コウノトリの野生復帰に向け、大きな意味がある」と話した。

橋爪さんは「ひなの誕生は本当にうれしく、感無量。上越の豊かな自然と農薬の削減など環境保全型農業への取り組みで、コウノトリの餌が豊富にあるためだろう」と喜んだ。

ひなは順調に育てば、約2か月後の7月上旬に巣立つ見通し。同日夜、孵化について発表した上越市は、観察や撮影は巣から150m以上(車の中からは100m以上)離れて行うことや、無断で私有地や農地に入ったり、車を駐車したりしないよう呼び掛けている。

satokouen.jp

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