上越市職員が災害発生時の避難所開設訓練 段ボール製「インスタントハウス」の組み立ても

新潟県上越市は2024年4月11、12の両日、職員を対象とした避難所の初動対応研修会と開設訓練を同市総合体育館などで開いた。指定避難所125か所の班長、新任対応職員の計171人が参加。避難所内でプライバシーを確保できる段ボール製のインスタントハウスと呼ばれる個室を組み立てる初めての訓練も実施した。

インスタントハウスと呼ばれる個室の設営訓練。三角の部分は屋根となる

円滑な避難所運営を図ろうと毎年この時期に実施。これまで参加する班長は新任のみだったが、本年度は元日に発生した能登半島地震の避難所開設の反省点を振り返ることやマニュアル修正もあったことから全班長が対象となった。

発電機の使い方も再確認した

11日午前の部は44人が参加した。研修会では運営マニュアルに基づく避難所開設と運営などを学んだ。避難所の設営訓練では、段ボール製のベッドやインスタントハウスの組み立て、食料や資機材、物資など備蓄品の内容を確認するなどした。市によると能登半島地震での避難所開設では配置されているストーブが梱包されたままですぐに利用できなかったなど、課題も残った。食料の賞味期限、ガスボンベの使用期限などの確認なども含め、備蓄品の再確認の徹底が呼び掛けられていた。

備蓄品を確認する職員

初の組み立て訓練を実施したインスタントハウスは名古屋工業大学が研究開発したもので、能登半島地震被災地でも実際に使用された。今年2月、名古屋市の民間団体を通して105棟分が同市に寄贈された。組み立てでは職員たちが協力しながら約15分ほどで作り上げていた。

大人の身長ほどの高さの仕切りに屋根が設置されると完成

段ボール製のベッドも組み立てた

同市の柳時夫危機管理監は「能登半島地震で避難所開設を初めて経験した職員も多い。研修を今後に生かし、同僚に引き継ぐことも重要。町内会などの組織と協力しながら取り組んでいく」などと話した。今後は各避難所ごとに職員や施設管理者、町内会などが集まり、避難所運営に関してそれぞれ打ち合わせを行うという。