新潟県上越市は2024年3月26日、能登半島地震で津波被害があった直江津地区の22町内の住民を対象に、津波避難に関する意見交換会を同市中央1のレインボーセンターで開いた。住民の意見を津波避難計画に反映させる方針で、参加した町内会役員ら約40人からは、高齢化が進み徒歩での避難が難しい実態や、避難所開設時の混乱など、さまざまな課題が上がった。
市内では直江津地区の港町や船見公園をはじめ、大潟漁港、柿崎漁港など7か所で津波の到達が確認された。今回の津波避難では、原則徒歩とされる中、多くの人が車で移動したことによる幹線道路の渋滞などの課題があり、市は津波避難計画の見直しを進めている。
意見交換会には市職員のほか、オブザーバーとして警察、消防も参加。冒頭であいさつに立った市川重隆防災危機管理部長は「住民避難のあり方について、市民の皆さんの行動や町内会の対応を聞いて整理、検証した上で必要な対策を講じたい」と述べた。
避難方法について、参加した町内会長ら役員や防災士からは「お年寄りの方で、道路にうずくまってしまう方が複数いた。老老介護で徒歩で避難できる人は何人もいない」といった戸惑いの声や、「要支援者には役員がつくように決めていたけれど、指示を出しながら逃げていたら手が回らなかった。我々だけでどこまでできるか課題」といった指摘があった。
また避難所について、元日の災害で施設管理者や市職員の到着が遅れ、初動対応に混乱があったことや、分布に偏りがあるなどとして、体制の見直しを求める意見、安全メールをもっと活用してほしいといった情報発信についての要望もあった。
直江津地区町内会長協議会の古澤悦雄会長(74)は「災害対応は急を要する。さまざまな意見が出たので、早期に回答をフィードバックし、実効性のあるものにしてほしい」と話した。
市は4月以降、大潟区や柿崎区といった沿岸部の町内会とも意見交換するとしている。