地震で被災し解体された上越市中央3の旧酢屋呉服店内蔵など描く ひぐちキミヨさん個展

能登半島地震で被災し、このほどやむなく解体された新潟県上越市中央3の国登録有形文化財、旧酢屋呉服店の内蔵(うちぐら)や同市直江津地区の風景などを描いた同市在住のイラストレーター、ひぐちキミヨさん(65)の個展が、同市西本町3の直江津ショッピングセンターエルマール1階イベント広場で開かれている。直江津在住のひぐちさんは「酢屋を描いたことをきっかけに、直江津に残る内蔵を描いていきたい」と話している。

旧酢屋呉服店のイラスト原画とひぐちさん(右)、保坂さん

「なおえつ展」と題した個展は毎年この時期に開催している。今年はひぐちさんと共に市民団体「まちおこし直江津」で活動する工務店、不動産会社経営の保坂清美さん(60)が所有する旧酢屋呉服店の内蔵を描いた。

旧酢屋呉服店の土蔵は1871年(明治4年)建築で、雨屋と呼ばれる建屋に覆われた直江津の特徴的な内蔵が茶の間に面している。保坂さんが6年前に取得し、経営する会社の本社として使用。2022年には1908年(明治41年)建築の主屋とともに国の有形文化財に登録された。

旧酢屋呉服店の店舗兼主屋。奥に内蔵がある(提供:上越市教育委員会、撮影者:佐藤和夫さん)

元日の能登半島地震では、内蔵の土壁が雨屋の壁を破って崩落するなど大きな被害を受け、やむなく解体された。イベントや会合などで同店を訪れていたひぐちさんは「内蔵なので見たことがない人、地震で崩れた話しか知らない人もいる。一番いい時の蔵の姿を皆さんに知っていただきたかった」と話す。個展を前に解体されることを聞き、急きょ描いたという。

絵はがき

保坂さんは「今回の地震でいろんな物がなくなって喪失感が大きかった。ひぐちさんが描いてくださった」と語った。作品原画は非売品で、絵はがき(1枚150円)を販売している。

会場には旧直江津駅やいかや旅館、ナルス直江津駅前店といった直江津の懐かしの建物などを描いた原画12点、直江津や桜を中心としたまちなみ絵はがき500種類などが並ぶ。期間は17日までで、時間は午前10時から午後6時まで(最終日は午後5時まで)。

いかや旅館や旧直江津駅などを描いたイラスト原画

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