上杉謙信ゆかりの春の風物詩「お強(たち)の餅」が今年から初夏に変更 直江津で半世紀の歴史

新潟県上越市直江津地区の菓子店で毎年3月31日と4月1日の2日間だけ販売される「お強(たち)の餅」が、今年から5月31日と6月1日の販売に変更される。郷土の戦国武将、上杉謙信の逸話にちなみ約半世紀続いてきた直江津の春の風物詩は、初夏へと変わる。

「お強の餅」とは

お強の餅は謙信が雪解けを待って出陣する兵をいたわり、「げん」がいい初草を入れた餅を配って戦に勝利したという逸話から、新年度を新たな気持ちで迎えてもらおうと、約50年前から直江津菓子組合加盟店が販売している。ヨモギ入りの草餅の中にあんを入れた「天」と、草餅をあんで包んだおはぎ風の「地」の2種類がある。

お強の餅

直江津では「川渡餅」と並ぶ風物詩

上越市内で謙信の故事を基に限定販売される和菓子と言えば、毎年11月30日と12月1日に販売される「川渡餅」が有名だ。謙信が川中島の戦いで千曲川を渡る際に、餅を兵に配って士気を高め勝利したという逸話にちなんだあんころ餅で、高田と直江津の両菓子組合加盟店で一斉に販売され、市民には冬の訪れを感じさせる味として根付いている。

このためお強の餅が販売される直江津地区では、冬は川渡餅、春はお強の餅と、それぞれの季節の風物詩となっていた。

販売日変更はなぜ?

ではなぜ、約50年続いてきた季節の風物詩のお強の餅の販売日を変えるのか。

直江津菓子組合広報担当で三野屋菓子店(中央1)の重原稔さんによると、年間を通して和菓子を食べる機会を増やすことが理由。春は卒業や入学、転勤、年度替わり、観桜会などで和菓子を食べる機会も多いが、6月は季節を代表する和菓子が少ないことから、お強の餅の販売日をずらすことにした。中川幹太市長が進める「通年観光」にもつながる取り組みだという。

「春は桜餅など桜にちなんだ菓子がある。6月にお強の餅を変更することで、通年で和菓子を楽しんでいただけると思う」と重原さん。由来となった謙信の逸話の雪解けの時期とは季節が異なることになるが、「郷土の英雄である謙信公の遺徳は、和菓子を通じてこれからも広く伝えていきたい」と話した。

原材料や容器などの高騰から20円値上げし1個150円(税別)となる。また天と地の2種類も店によってあんの種類が違っていたことから、天は草餅の中につぶあんを入れ、地はこしあんで草餅を包むことに各店で統一する。

販売店は次の通り。

  • 伊藤製飴所(中央1)
  • 岩野屋菓子店(港町1)
  • くさのや(中央1)
  • 坂詰菓子店(黒井)
  • 土肥菓子店(中央2)
  • 日清パン(西本町3)
  • ヒロクレイン(春日新田2)
  • バラパン(安江1)
  • 丸田屋(頸城区百間町)
  • 三野屋菓子店(中央1)
  • 山川製菓店(中央3)