特殊詐欺防止へコンビニで初の訓練 市民も参加し地域の防犯力高める

上越警察署とセブン‐イレブン・ジャパンは2024年2月15日、新潟県上越市安江1のセブン-イレブン上越安江店で、特殊詐欺や認知症高齢者などを想定した訓練を行った。客役として市民が参加するなど地域ぐるみで実施し、安全なまちづくりに向けて地域の防犯力強化を図った。

同署管内では、昨年末時点で特殊詐欺の発生件数、被害額ともに県内の警察署で最多を記録。電子マネーカードをコンビニで購入させてだまし取る手口が多いことから、店員による声掛けで被害を防ごうと、同署では初となるコンビニでの訓練を企画した。また、今後増加が懸念される認知症高齢者の保護訓練と強盗訓練も併せて行い、県内のセブン-イレブンでは初の試みとして市民も訓練に参加。市老人クラブ連合会の会員2人が高齢客役を務め、地元住民ら約10人も見学した。

特殊詐欺防止訓練で電子マネーを購入しようとする客役(右)を説得する店員

特殊詐欺防止訓練では、パソコンにウイルス警告画面が表示され、修理費を要求された高齢男性が来店し、5万円分の電子マネーを購入しようとする想定で行われた。店員は男性に用途を聞き、「そういう詐欺が流行っている」と伝え、納得しない男性を根気強く説得して警察に通報した。

客が納得しない場合の対処について、同署の本多和利生活安全課長は「実際の詐欺画面が載った啓発用ちらしを見せたり、『電子マネーの番号を後で教えてと言われていないか』など質問のフレーズを変えたりして対応してほしい」とアドバイスしていた。

認知症男性役(左)をイートインスペースに誘導する店員

認知症により帰宅できない高齢者の保護訓練では、店員が店内をうろつく男性に声を掛け、店内のイートインスペースに誘導してから警察に通報した。対応に当たった副店長(22)は、「(男性が)すぐに帰ってしまいそうで心配だったので、もう少し早く(店の)事務所に連れて行こうと思った」と話していた。

強盗訓練では、刃物を持った男を警察官が演じ、犯人の特徴や逃走手段などを警察に通報する手順を確認した。

刃物を持った男が店員を脅して現金を奪う想定で行われた強盗訓練

訓練後、本多課長は「今日の良かった点や悪かった点を踏まえて、実際に起きたらどうするかを考えてもらいたい」と呼び掛けた。

市労連の山口衛行会長(85)は「訓練に参加して実際に動きを見ることができていい勉強になった」と話していた。