能登半島地震から1か月 上越市内 復旧へ全力

元日を襲った能登半島地震から今日(2024年2月1日)で1か月――。震度5強を観測した新潟県上越市では、土砂崩れや津波被害で通行止めとなっていた国道や市道が通行再開するなど、交通の復旧が進んでいる。津波で多くの浜茶屋が流されたなおえつ海水浴場では夏の営業に向けて再建が進められている一方、深刻な建物被害で閉店を余儀なくされる商店もあるなど、未だ険しい現実が続いている。

住宅被害は1081件

上越市災害対策本部による1月31日時点のまとめによると、地震や津波によるけが人は、重傷1人、軽傷5人。住宅の被害は1081件に上り、全壊が2件、半壊が45件、一部損壊が1019件。また津波による床上浸水が1件、床下浸水が14件確認。企業の生産設備や店舗、農業施設、漁港、港湾などにも大きな被害が確認されている。

国道8号土砂崩れ27日ぶり通行再開

茶屋ヶ原の国道8号では地震で幅80m、高さ55mの土砂崩れが発生し、全面通行止めとなった。24時間体制の工事で、約1万4000立方mの土砂やコンクリート殻を搬出し、崩壊した擁壁の代わりに土のうや仮設ガードレールを設置するなど応急復旧を完了。1月27日に通行止めを解除し、交通の大動脈が復活した。

通行再開した国道8号の土砂崩れ現場(2024年1月30日)

擁壁の代わりに土のうや仮説ガードレールが設置された(2024年1月30日)

なおえつ海水浴場浜茶屋再建へ奮闘

津波により浜茶屋や土砂が押し流され、通行止めとなった市道「五智居多ヶ浜シーサイドライン線」は、1月12日に通行が再開された。

浜茶屋の資材や物置き小屋などが流され、がれきやトタン、漂流物などで散乱したなおえつ海水浴場は、夏の営業を目指して浜茶屋組合員たちが再建に向けて奮闘している。

1月中旬からは重機を入れて資材や備品などを選別する作業を各自で続けており、残り1週間で作業終了を目指すという。その後、時期は未定だが、市や県によるがれきなどの撤去作業が始まる予定だ。

なおえつ浜茶屋組合の桑原尚二組合長(59)は「整理をしていくと、プレハブなど、まだ使えるものもあった。大変な作業が続くがやるしかない。今年の夏の営業は(組合で)やろうと話している。必ず開設する」と力を込めた。

なおえつ海水浴場前の市道は復旧済み(2024年1月30日)

なおえつ海水浴場(2024年1月30日)

崩れた小屋(2024年1月30日)

木材が散らばる砂浜(2024年1月30日)

家財や木材がまとめられている(2024年1月30日)

砂浜に山積みになったがれきなど(2024年1月30日)

店舗ビル破損し閉店へ本町3の正香園上越店

高田本町商店街の「お茶の正香園上越店」(本町5)は、地震で入居するビルが破損したため営業が困難となり3月の閉店を決めた。

閉店を決めた本町5の「お茶の正香園上越店」ではビル外壁タイルが落下した(1月30日)

松木成徹社長(52)によるとビルの一部で外壁タイルが落下したほか、天井に穴が開き、壁のつなぎ目にもひび割れができた。また壁と床が10cm以上ずれ、壁材が崩れて雨漏りするなど、各所に破損が見つかった。

1989年から入居するが、ビルが建設されたのは昭和40年代。同商店街ではテナントビルの先駆けで、過去には病院や薬局、塾などが入居。ここ最近は同店1店舗のみが入居し営業してきた。突然の事態に「急なことで戸惑った。(閉店に)なかなか踏ん切りがつかなかったが、続けるのは危険と判断した」と松木社長。

閉店日は3月3日。これまで関わった人たちに「感謝の気持ちしかない」と言い、売り尽くしセールも行う。閉店後、同店で取り扱う商品は市内に2店舗ある系列店「雪の香テラス」で販売される。

5.8mの津波に襲われた船見公園

船見公園でも復旧に向けた作業が進んでいる。気象庁が先月、新潟県、富山県、石川県の19か所で行った調査では、同公園の5.8mが最大だった。

船見公園(2024年1月30日)

ところどころ壊れている船見公園の防護柵(2024年1月30日)

散らばった木などの清掃作業が行われている(2024年1月30日)

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