「業者選定極めて不公正」請求人が意見陳述 上越市通年観光計画業務委託の住民監査請求

新潟県上越市の中川幹太市長が看板公約として策定を進めている通年観光計画の策定支援業務について業者選定が不公正に行われたなどとして市民が委託料の支出の差し止めを求めた住民監査請求で2024年1月25日、請求した市民による意見陳述と監査委員による市側への事情聴取が行われた。

プロポーザル方式で選定された業者は新潟日報社などが出資する株式会社Essa(エッサ、新潟市)。業者選定前にエッサ代表が市内部の会議に出席するなど市とエッサが極めて近密な関係にあったことや、選定方法がエッサに有利だったことなどが問題となっており、市内で民泊などを営む町凌介さん(33)が、昨年12月に住民監査請求した。

監査委員への意見陳述

この日は、町さんが3人の監査委員を前に「著しく不公正な選定過程で業者が選ばれた。これがOKなら今後も乱用されるので阻止したい」などと請求の理由や背景などを説明した。

一方、市側は内部の会議にエッサ代表を招いた経緯について「昨年9月、新潟日報社社長と市長が面会した際に、社長からエッサの取り組みの紹介があり、高田エリアの基本コンセプトの参考になると考え招請した」などと説明。業者選定過程が不公正だとする請求人の主張については全面的に否定した。

監査委員は市側に対し「(エッサ代表の)会議への招へいがプロポーザルの審査基準に何らかの影響を与えたと考えられないか」と質問。市側は「リサーチであり、影響は与えない」と回答。監査委員がさらに「現実に点数がかなり開いているが、評価された点は何か」と聞くと、市側は業務理解度や実現性、実効性などの審査基準を示した。監査委員は「事前に会議に出ているので理解度が高いのは当たり前ではないか」などと再度回答を求めると、市側は「事例の紹介を受けただけだ」などと答えた。

監査委員は2月下旬までに監査を終え、結果を公表する。