日本スキー発祥の地、新潟県上越市の金谷山にそびえる「レルヒ像」を制作した彫刻家、戸張幸男さん(1908〜98)の木彫作品などを展示した「戸張幸男作品展」が2023年11月23日、同市寺町3の大嚴寺で始まる。25日まで。観覧無料。
地元の芸術家にスポットを当て、作品の魅力や人となりを市民に発信することを目的に活動する市民団体「六人の会」(代表・佐藤信明大嚴寺住職)が主催する。会は昨春設立し、昨年は同市の洋画家、原本賢治さん(1910〜2001)を顕彰する遺作展を開くなどした。今回は同市の地域独自の予算事業を活用した。
旧高田市に居住し市展創設にも関わる
戸張さんは福岡県生まれ。両親の都合で朝鮮半島に渡り、大学は現在の東京芸術大学を卒業。朝鮮彫刻会、帝展、日展などを中心に彫刻会で活躍した。戦後は祖母の実家がある旧高田市に居住し、今回の作品展会場の大嚴寺でもしばらくの間、生活したという。新潟大学教育学部高田分校芸能科発足に伴って彫塑科で教べんをとり、後進の指導、上越市展などの創設にも関わった。
作品の代表とも言われる金谷山のレルヒ像はスキー発祥50周年記念として旧高田市が制作を依頼した。台座7m、銅像3mの計10mの高さで、頸城平野を一望するように建立された。61年1月には除幕式が開かれた。
高田城址公園などにもブロンズ像
作品は高田城址公園をはじめ、市内の公共施設や小学校、病院などで目にするブロンズ像にも多く見られるほか、大嚴寺本堂には日頃から木彫も数作品飾られている。今回の作品展には市内各所のブロンズ像を写真パネルで展示したほか、同寺や市民が所蔵する木彫9点とレリーフ2点の11点などを展示した。
彫刻作品集は1日30冊限定で配布
彫刻作品やレルヒ像制作工程、略歴など、戸張さんについてまとめた冊子500冊も発刊した。戸張さんの息子で彫刻家の戸張公晴さんによる寄稿もあり、父親との思い出もつづられている。冊子は作品展の3日間で希望者に無料配布される。先着で1日30冊、3日間で90冊限定。市内の学校や公共施設にも配布されることになっている。
佐藤住職(73)は「レルヒ像は多くの人から知られていても、作者の戸張氏については残念なことに市民にはあまり知られていない。レルヒ像だけではなく、さまざまなところに作品が残っている。この機会を通して、より多くの皆さんから知ってもらえれば」と話した。
午前10時〜午後4時。問い合わせは大嚴寺025‐523‐5524。