多発する特殊詐欺被害に歯止め 警察官がセブン―イレブン41か所を受け持ち巡回 

プリペイドカード式の電子マネーを購入させる架空請求詐欺など、コンビニエンスストアを利用した特殊詐欺被害に歯止めをかけようと、上越警察署は管内の「セブン―イレブン」41か所に対し、特定の警察官が店舗を受け持ち、定期訪問する制度を新たに導入した。同署は「警察は『話しにくい』『通報しづらい』と思われがちで垣根を取り払いたい。毎回顔を合わせることで従業員が気軽に相談できる関係を構築できたら」と話す。

店舗を巡り、従業員に詐欺の手口などを説明

「コンビニ受け持ち制度」と銘打ち、署独自の取り組みとして今年6月にスタートした。県内の警察署では小出署が取り組んでおり、上越署は2署目となる。

同署によると、管内での特殊詐欺被害は7月末現在、18件、約9100万円で、県内29署中、ワースト1となり最悪な状況に。一方で詐欺被害を未然に防止した件数は20件、約300万円で、29署中で最多となっている。コンビニ従業員の声掛けで未然に被害を防ぐケースが最も多いという。

受け持ち制度は、地域に密着している交番、駐在所の警察官が管轄のセブン―イレブンに週1回程度出向く。店舗では従業員に詐欺被害を防ぐためのちらしを配布したり、最近管内で見られる詐欺の手口を説明したり、店舗側の話を聞くなど、約5分ほど滞在するという。

店内には詐欺被害に遭わないように注意喚起する掲示物もある

今年に入り、詐欺被害未然防止に2度貢献した同市三田新田の上越三田店には2023年8月23日、店からほど近い同署三ツ屋交番から警察官が訪れ、従業員に詐欺未然防止の協力を呼び掛けるなどした。警察官が訪問した際の説明内容などはメモを残すなど、全従業員が情報共有を徹底しているという。飯田馨マネジャーによると、店の利用者は一人暮らしや夫婦2人暮らしの高齢者も多い。「高齢者が利用する日中に(警察官が)来てくださり、安心している。気軽に質問もできるので、とてもいい取り組み」と語った。

コンビニではプリペイドカード式の電子マネーを購入させる架空請求詐欺が多く発生

交番や駐在所を管轄する同署の地域第2課、吉原慎太郎課長は「(コンビニから)積極的な声掛けをしてもらいありがたい。顔を合わせ、警察に電話しやすい環境を作り、詐欺を完全に撲滅したい」。

同署生活安全課、本多和利課長は「詐欺かもしれないと思ったときに警察に連絡する意識付けにもなる。今後は管内のコンビニに広げていけたら」と話した。