うみがたりが国内初のサクラダンゴウオの繁殖に成功 6月26日まで特別展示

新潟県上越市立水族博物館「うみがたり」は2023年3月、国内で初めてサクラダンゴウオの繁殖に成功した。日本動物園水族館協会(JAZA)の「初繁殖認定」を目指して育成しており、6月26日の開館5周年を記念して特別展示している。

うみがたりでふ化したサクラダンゴウオの稚魚(うみがたり提供)

サクラダンゴウオは2017年に日本海で発見されたダンゴウオ科の新種。繁殖期の冬から桜が開花する春にかけて見られることから、その名が付いたとされている。他のダンゴウオ科同様、丸みをおびた体とクリクリとした目、岩や海藻にくっつく吸盤状の腹びれが特徴で、成魚でも体長が3cmに満たない小さな魚だ。

かわいらしい見た目が人気のサクラダンゴウオの成魚

日本海の生き物の展示に特化した同館では、2021年から不定期で展示を開始し、昨年からは本格的に繁殖にも取り組んでいた。昨年5〜6月に県内の海で採集し、繁殖期の冬には自然界と同じく水温を下げ、ペアで過ごさせるなど環境を整えた。今年2月中旬に産卵、3月11日に初のふ化を確認し、今シーズンは約500匹の稚魚が生まれた。

同館によると国内での繁殖例はなく、JAZAに加盟する動物園、水族館で飼育されている動物の繁殖に国内で初めて成功し、6か月以上生存した場合に授与される初繁殖認定を目指している。最初にふ化し育っている約40匹は、6か月後までバックヤードで飼育管理される。

成長過程が分かるように展示している

今回展示されているのは3月11日以降に生まれた稚魚で、ふ化したばかりの3mmほどの個体から2か月後の個体、また採集してきた成魚まで並べ、成長の過程を見ることができる。虫眼鏡を使い、「天使の輪」と親しまれている稚魚特有の頭の模様も見ることができる。

担当スタッフの柴田凪沙さん(25)は「最初は別のダンゴウオでの繁殖に取り組み学んだ。(成功は)うれしい限りだけれど、引き続きしっかり管理したい。かわいらしさを知ってもらい、あたたかく成長を見守ってほしい」と話していた。

展示は2階ふれんどプール前で6月29日まで。

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