上越市は新型コロナウイルスの市内感染者が8月中旬から急激に増加したことを受け、市独自の専門家会議を設置し、2021年8月31日に第1回会合を開いた。医師ら5人の委員が出席し、市内のワクチン接種や感染状況について意見交換を行った。
専門家会議は、医療関係者らが感染状況を分析し、市の対策について専門的な見地から助言を行う。座長を務める上越医師会理事で小児科専門の林三樹夫医師のほか、上越地域医療センター病院長、清里診療所長、上越保健所長、上越地域消防局長で構成する。
市内のワクチン接種状況は、2回の接種を完了した対象者の割合が、65歳以上は95.3%、64歳以下は8月29日時点で40.8%に上る。委員からは、「上越で高齢者の感染が減少したのはワクチン接種が進んでいるからだろう」などと接種率の高さを評価する声が上がり、今後は「若者にどうメッセージを伝えて接種してもらうかが大事」との意見が出た。
市内の感染者は、8月18〜24日の週で42人、同25〜30日の直近は28人に上り、直近の感染経路不明者の割合は43%と高い水準になっている。夏休み明けの小中学校でも感染者が判明し、早くも臨時休校するケースもあった。医師の委員は、現在流行するデルタ株の感染力の高さに触れ、今後は学校や職場での2次感染が危惧されると指摘。保健所は過去の事例を分析して対策を考えたいとした。
このほか、委員からは医療現場の状況について「発熱患者はまず検査をするので時間も手間もかかり一般診察も影響を受けている」「今後自宅療養が増えた場合の対応を事前に作っておくのも大切」などの意見が出ていた。
村山秀幸市長は「現場のことなどほとんど初めて聞いたこと。大事な意見として生かしていきたい」と話した。